タイトル |
遺伝マーカーを利用したエゾアワビとクロアワビの遺伝的識別 |
担当機関 |
独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所 |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
原 素
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発行年度 |
2005 |
背景・ねらい |
エゾアワビとクロアワビは寒流域と暖流域で棲み分けされているが、形態学的分類が困難なため類縁関係は不明瞭であり、その識別は生態学だけでなく栽培漁業上の関心事である。近年、減少したアワビ漁獲量の回復のため、大量生産された人工種苗が放流されているが、エゾアワビの種苗生産は順調なものの、クロアワビでは筋萎縮症などが原因とされる大量斃死が頻発している。そのため、一部のクロアワビ生息域ではエゾアワビ種苗が放流されており、その影響が懸念されている。そこで、新しく開発した変異性の高いDNAマーカーを用いて、両生息域に分布するエゾアワビとクロアワビの地域集団を分析し、両種を遺伝的に識別するために有効な遺伝マーカーの確立を目指すものである。
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成果の内容・特徴 |
- アワビから集団解析が可能な8つのマイクロサテライトDNAマーカーを開発した。
- エゾアワビとクロアワビ集団を明確に識別できる5つのマーカーをみつけた(図1)。
- エゾアワビとクロアワビのそれぞれ5地域集団は、遺伝的距離を基に描いた類縁図からわかるように明確な2つのグループに分けられた(図2)。
- これらの遺伝マーカーの利用により、アロザイム等の既存遺伝マーカーでは難しかったクロアワビ生息域での放流エゾアワビ種苗の影響評価の実現が期待できる。
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成果の活用面・留意点 |
現場における実用的調査に向け、クロアワビ生息域でエゾアワビ人工種苗が継続的に放流されている漁場での検証が必要である。また、開発した遺伝マーカーがエゾアワビとクロアワビの集団レベルでの識別が可能になったので、次の段階として、さらなる遺伝マーカーの開発により個体レベルでの識別法の開発が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
DNAマーカー
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