宿主の遺伝子発現プロファイルを利用した迅速診断の試み

タイトル 宿主の遺伝子発現プロファイルを利用した迅速診断の試み
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所玉城分室
研究期間 2002~2004
研究担当者 釜石 隆
三輪 理
松山知正
大迫典久
中易千早
藤原篤志
発行年度 2005
背景・ねらい 病原体の感染により発現量が変化する生体防御関連遺伝子を探索することは、疾病の早期発見に繋がり、感染防除のための基礎的知見として重要である。最近では魚類でも、種々の遺伝子をDNAチップとして用いることにより、体系的な遺伝子発現解析が可能となった。
そこで,本研究では魚病ウイルスVHSV,魚病細菌Edwardsiella tarda,Streptococcus iniae,および寄生虫Neoheterobothrium hirameを感染させたヒラメを用い,ヒラメDNAチップで病原体の感染時に特徴的に発現する遺伝子を調べ、その遺伝子の発現様式を解析した。
成果の内容・特徴 はじめに、E. tarda、S. iniae、N. hirame,およびVHSの人為感染試験で発現量の変動する白血球遺伝子を50個程同定した。これらの遺伝子は,病原体の種類により異なった発現様式を示していた(表)。中でもE. tardaおよびVHS感染では,多数の遺伝子が特徴的に増加していた。これらの変動は定量PCRによっても裏付けられ,本チップ解析の結果の妥当性が支持された。
次に、養殖場で自然発生したE. tarda罹病魚について,本チップでの解析を試みた。その結果,これらの個体からもE. tarda人為感染時に特徴的な遺伝子発現様式パターンが得られた(表 右端)。
以上の結果より,これらの遺伝子の発現動態は各感染症の診断指標となりうると考えられた。
成果の活用面・留意点 魚介類疾病の診断が迅速・多様・高度化することにより,疾病の早期発見,早期治療が可能となり,魚病の蔓延防止が可能となる。
今後さらに遺伝子発現の解析データーを蓄積していくことにより,DNAチップを用いた詳細な疾病診断や健康診断が実用化できると考えられる。
消費者への安全・安心な養殖生産物の提供に資するとともに,魚介類養殖業の経営安定に貢献できる。
図表1 229743-1.gif
カテゴリ 病害虫 経営管理 防除

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