粘液胞子虫性やせ病原因虫の感染機構

タイトル 粘液胞子虫性やせ病原因虫の感染機構
担当機関 宮崎県水産試験場
研究期間 2003~2004
研究担当者 安田広志
岩田一夫(宮崎水試)
中村充志
発行年度 2005
背景・ねらい 平成7年から九州各地のトラフグ養殖場で発生した粘液胞子虫性やせ病は、大きな被害をもたらし、宮崎県においても全てのトラフグ養殖経営体が休業・廃業に追い込まれた。この疾病は、腸管に寄生する粘液胞子虫が主因とされており、大量寄生を受けた魚は、体全体に顕著なやせ症状を示し、やがて死亡する。このような中、平成14年から本県のヒラメ養殖場においても、やせ症状を伴う粘液胞子虫寄生事例が発生し、虫体の形態がトラフグやせ病原因虫のE.leeiに酷似していたため、ヒラメ養殖においても重大な問題になることが予想された。そこで、防疫対策を検討する上で重要である感染経路等を明らかにし、感染の拡大を防ぐことを目的として、ヒラメ感染腸管を用いたヒラメへの実験感染を実施した。
成果の内容・特徴
  1. 方法
    1. 対象区、試験区の2区を設定し、供試魚として未感染ヒラメを各10尾使用した。試験にはアクリル水槽を用い、水温23℃に設定し、外部式ろ過器により完全循環による飼育を行った。
    2. 試験区については、平成17年1月6日にサンプリングした感染魚の腸管を細かく切って餌として与えた。
    3. 腸管給餌後32日目の2月7日に上記2区からサンプリングを行い、腸管内の粘液胞子虫の有無について、供試魚の腸管内壁をスライドグラスに塗沫し、これにDiff-Quik染色を施して光学顕微鏡下で観察する方法により行った。
  2. 結果
    1. 試験区において試験途中で1尾のへい死がみられたが、このへい死魚を含む全ての腸管に粘液胞子虫が確認されたため、ヒラメからヒラメへ直接伝播することが明らかになった。
    2. また、試験区では腸管給餌後25日頃から摂餌が不活発となり、29日目には準備した餌量を完食できず、有意な差ではないものの試験区の平均体重は対象区と比較して低かった。このことから、虫体の寄生により摂餌不良となり、最終的にはやせ病に至る可能性があることが示された。
成果の活用面・留意点 最近、ヒラメ腸管の粘液胞子虫とE.leeiが遺伝的に同じものであるとわかり、それはヨーロッパの水族館では30種以上の魚種に感染した例があるため、今後、本県においても被害魚種の拡大に留意しなければならないと考えた。
なお、経口感染であるため、飼育水の交換効率の向上が、疾病予防につながると考えられた。
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カテゴリ 経営管理

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