アユ冷水病の浸漬ワクチンの開発

タイトル アユ冷水病の浸漬ワクチンの開発
担当機関 広島県立水産海洋技術センター
研究期間 2003~2005
研究担当者 永井崇裕
発行年度 2005
背景・ねらい アユの冷水病は1987年に国内の養殖場で最初に確認された後,全国のアユ養殖場や河川に広まり,広島県でもアユにおける発生が1993年に河川で初めて確認された。それ以降,毎年多くの河川での発生が繰り返し確認されている。このような冷水病による被害を抑えるには,ワクチン処理により免疫を与えたアユを河川放流や養殖に用いるのが適していると考えられる。河川放流では多くのアユを処理する必要があることから,ワクチン液の入ったタンクにアユを一定時間収容する浸漬ワクチンの有効性に関しての検討を行った。
成果の内容・特徴
  1. アユ(広島県累代系人工アユ)をワクチン液(ホルマリン不活化菌体,不活化前菌数108cfu/mL)の入ったタンクに5分間収容しワクチン処理(2回処理、2週間間隔)を行ってから(図1-A),河川水(江の川水系西城川)を用いた野外池でアユを飼育し冷水病に自然感染させた(図1-B)。処理を行っていない対照区とアジュバンド*添加の注射ワクチンの試験区も同時に設定した。その結果,注射ワクチンに有効性は劣るものの,浸漬ワクチンの冷水病の自然感染における有効性が初めて確認された(図1-C)。同様の実験を翌年も行った結果、同じような有効性が確認された。
    *ワクチンの効果を高めるための物質)
  2. 浸漬ワクチンの有効性を向上させるために免疫賦活剤*(小麦共生菌由来LPS,酵母由来RNA:オリエンタル酵母提供)を配合飼料に混合し約2週間投与してからワクチン処理(ホルマリン不活化菌体、5分間、1回処理)を行った結果,浸漬ワクチンの有効性が高まることが明らかになった(図2)。小麦共生菌由来LPSは20μg/日魚体重kg、酵母由来RNAは配合飼料の1%量の添加とした。
    *免疫機能を高めるための物質)
成果の活用面・留意点
  1. 浸漬ワクチン処理を行ったアユを河川に放流したり養殖に用いたりすることで,冷水病によるアユの死亡の軽減が期待される。
  2. 免疫賦活剤の事前投与により冷水病ワクチンの有効性が高まったことから,他の病気を対象としたワクチンへの応用も期待される。
図表1 229770-1.jpg
図表2 229770-2.gif
カテゴリ 小麦

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