養殖に適した高成長系ビワマスの作出

タイトル 養殖に適した高成長系ビワマスの作出
担当機関 滋賀県水産試験場
研究期間 1990~2005
研究担当者 田中秀具
発行年度 2005
背景・ねらい 琵琶湖の固有種ビワマスは人為管理下では成長不良で、養殖対象とはされてこなかった。本種の養殖が可能となれば、時期によって漁獲の不安定な天然魚の供給を補うことができ、流通拡大にもつながるものと考えられる。高成長系継代魚を用いて、養殖試験を実施した。
成果の内容・特徴 醒井養鱒場保有の継代魚(5代目)を親として、選抜育種で作出した高成長ビワマス(6代目)は、18ヶ月齢で商品の800g体型に達し、22ヶ月齢では平均体長38.2cm、体重1098gと、養殖に実用的な成長を示した(図1)。なお、比較のために平行飼育した天然親由来の魚は、図1に「天然」として示したように、22月齢でも体長20.9cm(体重108g)で、本種の人為管理下での成長不良を再現する結果となった。その後、更なる選抜や天然魚との交配による近交弱勢の回避、狭い飼育池での高密度飼育等の経過を経て、6代継代し、現在、第12代目に至っている。
現在の飼育魚(図2の写真)は、種苗段階で成長不良魚を選別淘汰はしたが、図1に示すように、20ヶ月齢で平均体長41cm、体重1017gに達した。このように、今の世代も養殖魚として実用的な成長をする遺伝的系統と確認できた。
成果の活用面・留意点
  • 養殖魚として実用的な成長をするビワマスが作出できたことにより、今後、新たな地域特産種として普及されることが可能となる。さらに、年間を通じて安定的な出荷ができるようになれば、広く消費者にビワマスの存在が知られ、天然物の価値をより高める効果も期待できる。
  • 飼育はニジマス、アマゴとほぼ同じ方法で養殖が可能であるが、塩分に弱く、疾病時の塩水浴には注意を要する。また、他の在来マスと同様、セッソウ病には弱いが、この継代魚は当場の養殖アマゴと同等以上の耐性はあるように思われる。この結果は、飼育水温年間12℃前後で得られたものである。
  • 1歳で成熟する雄が多く、大型魚の生産にとっては大きなロスとなる。また、1.5歳以降、800g以上の製品サイズとなるが、2歳でほぼ全ての個体が成熟死亡する。これらの解決のため、技術的には既に可能となっている全雌三倍体を生産する必要がある。
図表1 229780-1.gif
図表2 229780-2.jpg
カテゴリ 育種 出荷調整

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