アワビ類放流器システムの開発−透明付着板を用いた放流篭による種苗放流方法の効率化−

タイトル アワビ類放流器システムの開発−透明付着板を用いた放流篭による種苗放流方法の効率化−
担当機関 千葉県水産総合研究センター
研究期間 2000~2003
研究担当者 内野加奈子
発行年度 2005
背景・ねらい アワビ種苗は放流方法により生残率に差が生じることが知られており,付着器放流および潜水放流でクロアワビの生残率を調べたところ,25~30mmサイズでは付着器放流は約1.5倍高かった。しかし,本県での種苗放流は潜水放流が主体である。また,現在一部で行われている付着器放流では網袋などに入れて漁協まで輸送した種苗を陸上空中で付着器に付けており,現在の方法は取り扱いにより活力が低下し,放流後の生残に影響すると考えられた。そこで,種苗の出荷から放流まで人手に触れずに放流できる「放流器」システムを開発することを目的とした。
成果の内容・特徴 エゾアワビで開発された方法(1984-85,山田町水産課水産種苗センター業務報告書)を原型とし,種苗生産施設において種苗を黒色の付着基板(図1)へ付着させ放流する方法(以下放流器放流)と,潜水放流の生残率を比較した。放流器放流は,殻長25~30mmサイズ以下では,メカイアワビでは潜水放流に比べ生残率が向上した(表1,P=0.05 有意)。
黒色の付着基板では,種苗が海底へ移動するまでに1か月かかるという問題が生じたため,暗所を好むアワビの生物的特徴を利用し,光の透過度が高い透明な付着基板を用いることにより,種苗の速やかな海底への移動を可能にした。アワビは暗所を好むため透明な付着基板へ付着しないが,遮光板を重ねることにより種苗を付着基板へ付着させることができた。そして,放流時に遮光板をはずし,種苗の付着した透明基板だけにして海底に設置(図2)すると,放流翌日にはほぼすべての種苗が移動することを確認した。
透明な付着基板を使用すると害敵からの発見率が高まる可能性があるため,黒色と透明付着基板の生残率を比較した。アワビ種苗を2003年11月14日に放流し,73日後の生残率を調べたところ,付着基板の光の透過度による食害の差はなかった(表2)。
成果の活用面・留意点
  • 光の透過度が高い素材で付着基板を製作し,種苗の移動速度を早め迅速に放流する方法を開発した。そのため,活力が高い状態で放流でき生残率の向上が期待できる。
  • 付着基板へ種苗を付着させるための水槽を確保する必要がある。
図表1 229783-1.gif
図表2 229783-2.gif
図表3 229783-3.gif
図表4 229783-4.gif
カテゴリ 出荷調整 輸送

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