ウニ類除去による藻場の再生

タイトル ウニ類除去による藻場の再生
担当機関 高知県水産試験場
研究期間 2003~2005
研究担当者 田井野清也
林芳弘(高知県水産試験場)
発行年度 2005
背景・ねらい 近年の沿岸域における著しい藻場の衰退は、漁業や海域環境に多大な影響を与えている。本県でも藻場に関わる回復方法等について従来から取り組みがなされてきたが未だ確実な手法は確立されていない。このため、藻場と食害生物の関係、藻類の入植機構などを解明し、持続的な藻場回復手法の開発を図り、漁業生産力の向上、海洋環境の保全を目指す。
成果の内容・特徴
  1. ウニ類除去後の海藻群落の遷移
    ウニ類の除去(平成14年12月実施)から2週間程度経過すると試験区内の海底が珪藻類等に覆われ、2ヶ月後の平成15年3月にはフクロノリ(小型の褐藻類で遷移の初期段階に生育が見られる)の生育が確認された。除去から1年後にはホンダワラ類を主体とするガラモ場が形成された。その後、平成17年10月現在までガラモ場が維持されており、カジメも生育している。
  2. ウニ類除去効果の継続期間
    事前調査ではナガウニ属は2.0-10.8個体/m2観察された。ウニ類除去後には、試験区の中心部では、ナガウニ属の生息密度は0.3-3.0個体/m2の間を推移した。一方、試験区外では7.8-26.5個体/m2の間を推移した。このように試験区の中心部ではウニ類の除去から2年3ヶ月経過しても低密度状態が維持された。
  3. 藻場造成手法の検討
    本試験区においては試験前まで大量に生息していた海藻類を食べるウニ類が取り除かれたことで、生育する海藻の種類が無節サンゴモ類からホンダワラ類へ遷移したものと考えられた。したがって、本調査海域での磯焼けの持続要因はウニ類による過剰摂食が主因として考えられ、ウニ類の除去が藻場の回復や拡大に有効であると判断された。
成果の活用面・留意点
  • 藻場の再生を実施する地先に応じたウニ類除去時期や対象藻類の選択が必要である。
  • 地先の漁業者や住民による藻場の持続的な維持管理手法の確立を目指し、田野浦地先で行っている「藻場の維持を許容するウニ類密度の予測」と合わせて、ウニ類を利用した藻場の有効利用を検討していく。
図表1 229784-1.gif
図表2 229784-2.gif
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