タイトル |
シラス漁場環境と餌生物 |
担当機関 |
宮崎県水産試験場 |
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
岡田俊明
杉田浩
林田秀一
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発行年度 |
2005 |
背景・ねらい |
イワシ類の仔魚であるシラスの漁場形成は、海況や餌生物の分布に大きく左右されると考えられることから、漁場形成時の海況や餌生物の状況について解析し、統計的手法から漁場形成要因及び漁獲量の予測式を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 漁場形成と栄養塩類及び餌生物との関係
植物プランクトンの指標とするchl-aとカイアシ類ノープリウス量の変動には、弱い正の相関関係が認められ(図1)、これらの数値の変動は7月を最高とする漁獲量の増減とほぼ一致している(図2)。 漁場は2及び4に集中しており(図3)、1から5におけるカイアシ類ノープリウス量については有意な差は認められなかったが、漁場が形成された7月においては差が生じていることが示唆された(図4)。
- 統計的手法による漁場形成要因の検討
日向灘のモニタリング調査である沿岸定線調査のデータ(水温・塩分・プランクトン湿重量・卵仔稚採集量)、県内まき網漁業と太平洋北・中区のカタクチイワシ漁獲量、都井岬/足摺岬の黒潮距離データを用いて主成分分析を行った結果、親魚量と産卵量を総合化した第1主成分、水温を総合化した第2主成分、塩分を総合化した第3主成分、黒潮の離接岸とプランクトン量の変動を総合化した第4主成分の4つの情報にまとめることができた(表1)。
- シラス漁獲量の予測式の検討
第1~4主成分を説明変数(X1~4)、4月~8月のシラス漁獲量(Y)を目的変数として重回帰分析を行った。 Y=-245.86X1+319.477X2-294.493X3-434.23X4+1513.14 漁獲量変動には黒潮とプランクトン量が主に関与した第4主成分の影響が最も大きかった。この重回帰式の予測値と実際の漁獲量の増減傾向はほぼ一致し(図5)、平成16年4月~8月の予測を行ったところ、実際の漁獲量と予測値は類似した(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
漁場環境と餌生物の生態的なつながりを解明するには、さらに短時間での変動特性を調査する必要があると考えられる。また、統計的に漁獲量変動への黒潮、植物プランクトン量の影響が示唆され、今後は黒潮流路の変動による基礎生産力の変化や卵・仔魚の輸送についても検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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カテゴリ |
モニタリング
輸送
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