沖縄周辺海域のソデイカの分布・移動・産卵

タイトル 沖縄周辺海域のソデイカの分布・移動・産卵
担当機関 沖縄県水産試験場
研究期間 2004~2005
研究担当者 渡辺利明
福田将数
発行年度 2005
背景・ねらい ソデイカ漁業は年間漁獲金額12億円と本県の沿岸漁業の基幹漁業の一つである。参入漁船数の増加により漁場の沖合化が進んでおり、沖合での新規漁場の探索と、資源の安定利用のための資源構造や回遊生態の解明が求められている。本研究では主に沖合海域で試験操業を行い、既存漁場沖合域でのソデイカの分布、移動、成熟・産卵を調べた。
成果の内容・特徴 2002年5月から2005年3月の間に調査船図南丸で15航海,75回の試験操業を実施した。操業では主に延縄(65回)を使用し、補助的に旗流し(10回)も使用した。調査海域は北緯20~26度、東経124~134度であった。本調査実施前の1999~2001年度には、図南丸で本調査より北東の海域を主として延縄試験操業を実施しており、この結果も合わせて検討した。
本調査の延縄試験操業での釣獲率は0~10.9%(平均3.8%)で、旗流し試験操業での釣獲率は0~18.3%(平均8.5%)であった。1999~2001年度の延縄試験操業の釣獲率が0~24.3%(平均5.4%)と比較すると今回の延縄試験操業での釣獲率はやや低かった。両調査で、釣獲率が高かったのは南北大東島周辺とその東沖海域であった。ソデイカは調査した殆どの海域で漁獲され、分布量の多少はあるものの沖縄南東沖海域に広く分布していることが分かった(図1)。
ダートタグ及びポップアップタグによる標識放流の結果、7例の移動に関する情報が得られた。放流から再捕までの経過日数は10~59日で、その間に50~690km移動していた。また、移動速度は0.1~1.1km/hであった。移動方向は7例中5例が西方向への移動であった(図2)。沖縄周辺海域では、中規模渦が東から西に伝播することが知られており、1999年の報告例ではその伝播速度は0.2~0.3km/hであった。ソデイカの西方向への移動傾向は、このような海洋環境と密接に関連している可能性がある。
調査した海域の殆どで雌雄の成熟個体が出現しており、雌には交接痕も確認されているため広範囲で産卵していると考えられた(図3)。
成果の活用面・留意点 沖合の漁場を利用する場合、遠隔化・操業の長期化により経費が増加し、漁海況情報が少なく荒天による避難などリスクも増すので、広範囲にわたる漁海況情報の収集と広報が必要である。
図表1 229810-1.gif
図表2 229810-2.gif
図表3 229810-3.gif
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