タイトル | 耳石を用いたイカナゴ属2種の種判別 |
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担当機関 | 北海道立稚内水産試験場資源管理部北方資源科 |
研究期間 | 1989~2006 |
研究担当者 |
北海道立稚内水産試験場 資源管理部 田中伸幸(現網走水産試験場) |
発行年度 | 2006 |
背景・ねらい | ・北海道,宗谷海峡周辺海域に同所的に分布するイカナゴ属2種(イカナゴおよびキタイカナゴとされている)を外見上区別することは困難なため(図1),より簡便な判別方法の確立を目指した。 ・両種の耳石輪紋の見え方に注目して種判別を行い,筋肉を用いたLDH(乳酸脱水素酵素)のアロザイムによる生化学的分析による判別結果と比較した。 |
成果の内容・特徴 | ・当海域のイカナゴ類の耳石は,第1透明帯の幅が広いタイプと狭いタイプの2タイプに大きく類別された(図2)。 ・アロザイム分析(図3)で種判別を行った100個体について,個体毎に耳石の第1透明帯幅を計測した結果,キタイカナゴ耳石の第1透明帯長幅は11.5~126.5μm,イカナゴ耳石の第1透明帯幅は60.0~605.0μmであった。この結果から,第1透明帯幅が100.0μmより広いものがイカナゴ,狭いものがキタイカナゴに概ね分離可能と判断した(図4)。 ・この基準で種判別した場合の両種の誤認率はイカナゴが約13%(40個体中5個体),キタイカナゴが約5%(56個体中3個体)で,両種の雑種を含めると全体で9%程度であった。 ・さらに500個体について,目視による耳石輪紋観察とアロザイム分析による種判別を行い比較した(表1)。・その結果,幅広型の耳石を持つ個体をイカナゴ,幅狭型の耳石を持つ個体をキタイカナゴと種判別した場合,種判別の誤認率は約3%程度であり,大部分の個体は目視観察による耳石のタイプ分けのみでも十分種判別可能と考えられた。 |
成果の活用面・留意点 | ・漁獲物中の両種の比率や種毎の体長組成などが,簡便な方法で把握できるようになった。 ・今後は,これらのデータを蓄積することで,より適切な資源評価を行うことができる。 |
図表1 | 229827-1.pdf |
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