東北海域における底層魚類の表層由来生物への依存

タイトル 東北海域における底層魚類の表層由来生物への依存
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所
研究期間 2006~2006
研究担当者 成松庸二 東北区水産研究所八戸支所
発行年度 2006
背景・ねらい
東北地方太平洋岸(東北海域)の陸棚斜面には、基礎生産がないにもかかわらず、多様な底層魚類が高密度で生息している。この理由には、表層由来の餌生物の供給が考えられているが、実際に、表層由来の餌生物が陸棚斜面においてどの程度消費され、どの程度重要なのかは明らかにされていない。本研究では、底層魚類優占種の分布量の経年変化、食性と日間摂餌量を求めることで、底層魚類による主要餌生物の年間摂餌量と表層由来の餌生物に対する依存度を定量的に明らかにした。

成果の内容・特徴 東北海域の陸棚斜面域における優占種31種について、2002~2003年春季、1997~2003年秋季に水深150~800mで行ったトロール調査から面積密度法を用い資源量を求めた。対象とした31種の漁獲量は全体の78~91%を占めていた。対象31種の合計資源量は4月の北部で平均5万トン、南部で14万トン、10月の北部で13万トン、南部で23万トンと推定された。

過去の文献などから、対象31種ではベントスを主食とする種が最も多く、次いで魚類、頭足類、オキアミ類、エビ類の順に多かった。過去の文献および飼育実験結果から魚種別摂餌量を求め、餌生物ごとに被食量を推定すると、春季は魚類、頭足類、エビ類およびオキアミ類の順で、秋季は魚類、エビ類、ベントスおよび頭足類の順に多かった。1~6月は春季、7~12月は秋季の調査結果を用いて求めた年間の被食量は、春季に北部で平均11万トン、南部で平均34万トン、秋季に北部で平均26万トン、南部で平均59万トンと推定された。そのうち表層由来の餌生物は春季に85%、秋季には86%を占めていた。ベントス食の種が多いにもかかわらず、摂餌量ではネクトン、動物プランクトンの割合が高いことから、優占種の中でも特に高密度で生息する種ほど表層由来の餌生物への依存度が高いことが明らかになった。

成果の活用面・留意点
底層域における表層生物生産の影響を定量化したことで、海洋の生態系モデル構築に大きく寄与できる。


図表1 229855-1.pdf
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