タイトル | 伊勢湾南部海域におけるディノフィシス属の消長とムラサキイガイ毒化との関係解明 |
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担当機関 | 三重県科学技術振興センター |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
畑直亜 鈴木敏之(独立行政法人 水産総合研究センター東北区水産研究所) |
発行年度 | 2006 |
背景・ねらい | 三重県では下痢性貝毒による二枚貝の出荷規制事例が散発的に認められるが,原因生物とされるディノフィシス属の出現密度と貝の毒化との対応は不明瞭な事例が多い。そこで,LC/MSを活用した新しいモニタリング手法を導入し,現場海水中のディノフィシス属の出現密度と併せて毒成分自体の推移を調査する。これとムラサキイガイが蓄積する毒成分を比較することで,両者の関係を解明し,二枚貝の毒化予測精度の向上に資する。 |
成果の内容・特徴 | (1)LC/MS導入のためのサンプリング手法の検討 簡便に高濃度の分析試料を得るため,小型プランクトンネットによる鉛直採集を採用した。ネット採集では引き網速度を速くすることでプランクトンの採集効率が向上することが明らかとなった(図1)。また,従来の採水法との比較より,ネット採集でディノフィシス属の出現動態を的確に捉えられることが示された(図2)。 (2)ディノフィシス属の出現密度,毒成分とムラサキイガイが蓄積する毒成分との対応 現場海水中で優占したディノフィシス・アキュミナータの出現密度と海水試料中のPTX2類(PTX2,PTX2sa)およびDTX1の毒量の推移が対応し(図3),さらに,ムラサキイガイが蓄積したPTX2類およびDTX1の毒量の推移とも対応が認められた(図4)。これにより,新しいモニタリング手法が貝の毒化予測に有効であることが示された。また,ディノフィシス・アキュミナータは主要毒成分としてPTX2を,微量毒成分としてDTX1を保有し,ムラサキイガイはPTX2が加水分解により無毒化したPTX2saを主体に蓄積することが示唆された。 |
成果の活用面・留意点 | (1)ディノフィシス・アキュミナータの出現密度に基づくムラサキイガイ毒化予測精度の向上 ・ムラサキイガイは,PTX2では毒化しない。 ・出現密度が1,000~10,000 cells/Lレベルに達すると,DTX1により規制値を超える可能性がある。 (2)現場海水中の毒成分をモニタリング手法の実用化 ・LC/MSに換わる簡易分析手法の開発により,貝毒監視モニタリングへの実用化が可能になる。 |
図表1 | 229858-1.pdf |
カテゴリ | 出荷調整 モニタリング |