タイトル | 大型水槽によるオニオコゼ種苗生産の改良 |
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担当機関 | 岡山県水産試験場 |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
草加耕司 |
発行年度 | 2006 |
背景・ねらい | オニオコゼは定着性の強い高級魚であり,放流効果が期待できる栽培漁業対象種として西日本各機関で種苗生産が実施されている。しかし,大量の良質卵確保が困難な少量多回の産卵様式や飼育条件等が未解明なことから生じる原因不明の大量死等,飼育が不安定で量産技術は確立されていない。さらに,改正薬事法による使用制限前には,大量死の軽減に有効であったニフルスチレン酸ナトリウム(水産用医薬品)浴に替わる対策の検討も急務となっている。 |
成果の内容・特徴 | 30kl水槽を用いたオニオコゼの種苗生産方法を以下のとおり改変した結果,ふ化仔魚から着底魚までの平均生残率が20~30%に向上し,1水槽当たり50~100千尾の量産が可能となった。 1 良質卵の大量確保 疾病予防のための銅イオン溶存水での親魚養成,長日処理や温度調整による成熟・産卵制御により,量産に必要な数十万粒/日の浮上卵を採卵できるようになった。 2 浮遊期の減耗対策 紫外線殺菌した飼育水をユニホースによる通気(図1,水槽底縁辺からの通気)で一定方向に緩やかに回転させ,紫外線照射したS型ワムシ,小型アルテミア及び冷凍コペポーダーの給餌により,10日齢での平均生残率が約70%に向上した(図2)。 3 着底期の減耗対策 20日齢頃からみられる着底魚の減耗に対して,飼育水への懸濁性貝化石(多孔質の水質改良材)の添加や1/3希釈海水での3日間の流水飼育(図3)により,投薬なしで死魚数を20~30%に軽減できた。 |
成果の活用面・留意点 | ・200~300千尾の着底魚の生産に(図4)より,オニオコゼの適正放流サイズとされる全長40~50mm,100千尾の種苗を育成できるようになり,資源増大のための大量放流が可能となった。 ・今後は浮遊期と着底期にみられる大量死の原因を究明し,さらに生産効率を高める必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
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