大型クラゲの洋上駆除漁具の開発

タイトル 大型クラゲの洋上駆除漁具の開発
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター水産工学研究所
研究期間 2005~2005
研究担当者 渡部俊広
本多直人
発行年度 2006
背景・ねらい
大型クラゲの漁業被害を軽減するため、底びき網や定置網では、漁獲を維持しつつ網に入った大型クラゲを排出する技術開発が進められている。これらの技術開発に加え、沿岸に来遊する大型クラゲを沖合域において駆除できれば、効果的な対策法となる。大型クラゲを沖合において駆除するために,表中層トロ-ル網のコッドエンド(袋網)を改造して,大型クラゲを細かく切断できる駆除用表層トロール網と,沿岸域で小型漁船を用いて駆除するための漁具を開発した。

成果の内容・特徴 大型クラゲを洋上において駆除するための漁具開発をおこなった。この駆除漁具は,大型クラゲを細かく切断できるように,表中層トロール網の身網の後端部とコッドエンドを改造した。コッドエンドには、ステンレス製ワイヤーを格子状に張り、これを5列に配置してここを通過する大型クラゲを切断できるようにした。試験操業は,日本海の大型クラゲが大量に来遊していた海域において,2005年10月に漁業調査船第七開洋丸によっておこない,入網した大型クラゲのほぼ全数を切断することができた。また,格子状に組んだステンレスワイヤーを配列した大型クラゲ切断部が実用性の高い構造であることを確認した。沖合域の駆除については,既存の表中層トロール網を改造し実施が可能となった。次に沿岸域を対象に小型漁船で操業可能な簡易大型クラゲ駆除網を開発した。この駆除漁具は基本的には一枚の長方形状の網に,キャンバス製カイトを網の裾側の中央部に取り付けて,網裾が深く沈下するようにした。キャンバス製カイトは,凧が揚がる原理と同じように海水の流体力によって網裾を沈下させる。模型実験では,網裾が深度約20mまで沈下することを確認し,2006年8月に,対馬北方沖において2艘曳きによる試験操業をおこなった。速力を2.5~3.5ノットで曳網した時,網裾は深度15m程度となり,大型クラゲを切断できることを確認した。

成果の活用面・留意点
(1)大型クラゲを沖合域や沿岸域で駆除することができるようになった。

(2)大型クラゲの密度の高い海域で駆除することにより,来遊量を減少させることが期待される。

(3)水中ビデオカメラ等による観察から、沖合域では大型クラゲは50m以浅、とくに40m以浅に多く分布しており、効果的に大型クラゲを駆除するには,表層から40m程度までの水深帯を曳網する必要がある。


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図表2 229888-2.png
図表3 229888-3.png
図表4 229888-4.png
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