漁業者と連携した溶存酸素量調査と操業支援のための情報提供

タイトル 漁業者と連携した溶存酸素量調査と操業支援のための情報提供
担当機関 神奈川県水産技術センター
研究期間 2005~2005
研究担当者 山田佳昭
発行年度 2006
背景・ねらい 東京湾では、周辺の都市化や人口増によって富栄養化が進行し、夏季を中心に底層の溶存酸素量が著しく低下し、貧酸素水塊が形成される。この溶存酸素の低下は底棲性魚介類の分布や漁場形成に大きな影響を与えている。水産技術センターでは、これまで貧酸素水塊の形成・消長の動向把握と予測技術の確立を目的として海洋観測を実施し、その解析結果を東京湾溶存酸素情報として漁業者に提供してきた。この情報は底びき網漁業やあなご筒漁業などにとって非常に有用な情報であることから、自らが観測を実施し、水産技術センターがその結果を解析して溶存酸素情報に追加して情報提供してほしいとの要望が漁業者からあり、平成17年度から漁業者と連携して溶存酸素量調査を実施することとした。
成果の内容・特徴 普及指導員による指導の下に、漁業者自らが漁船により東京湾内で溶存酸素量、水温、塩分等の観測を実施し、その結果を水産技術センターが解析、FAX等で各漁協等に送り、漁業者が翌日以降の操業計画立案に活用した。水産技術センターの調査船を使用した海洋観測に加えて漁業者が観測を行うことによって観測密度が高くなり、東京湾溶存酸素情報の提供頻度を2倍にすることができた。また、初夏から初秋にかけての貧酸素水塊の形成-盛衰-消滅の過程を詳細に追跡することができた。漁業者と連携した調査を行うことにより、漁業生産の場である海の理解や環境保全に対する漁業者の意識を高めることに加えて、外洋水の浸入などに影響され短期間で変化する貧酸素水塊の動向把握の精度向上を図ることができた。平成17年度の調査結果からは、概して湾奥に向かうほど値が低い傾向がみられた。貧酸素水塊の目安である2.5ml/lを下回る値は、南部海域では若干みられた程度だが、中ノ瀬以北では調査期間を通じて2.5ml/lを下回り、貧酸素化が長く継続したことがうかがわれ、貧酸素化が比較的規模の大きいものであったと推察される。なお、本調査で得られた結果は、本県等の関係機関が連携の下、千葉県が発行している「貧酸素水塊速報」の基礎データとしても利用されている。
成果の活用面・留意点 溶存酸素量に関する情報は、小型機船底曳網漁業やあなご筒漁業に従事する漁業者に利用され、漁場の選定や操業計画の立案に寄与している。自ら調査を行うことでより関心が高まり、さらに利用の輪が拡がった。今後も、貧酸素水塊の形成や移動の動向を予測する技術の確立に向けて調査を継続するとともに、調査結果を迅速に情報提供していく。なお、「東京湾溶存酸素情報」のURLは次のとおり。
http://www.agri.pref.kanagawa.jp/suisoken/kankyo/sanso/TokyoBayOxInfo.htm"*URL変更
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/kankyo/sanso/TokyoBayOxInfo.htm
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