タイトル | 黒潮と漁場の距離から推定した立縄釣り漁船のキンメダイ漁獲量と採算分岐点 |
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担当機関 | 神奈川県水産技術センター |
研究期間 | 1997~2006 |
研究担当者 |
秋元清治 |
発行年度 | 2006 |
背景・ねらい | 本県のキンメダイ立縄釣り漁船(10t未満船)は、東京湾口部から八丈島以北に点在するキンメダイ漁場を操業しているが、中でも7- 9t級漁船は沖合い漁場の三宅島沖三本漁場及び御蔵島沖イナンバ、御蔵海山漁場を主体に操業している。これらの漁場は、漁船の基地港である神奈川県三崎漁港から70~90マイル沖合いにあり、出漁時には燃料費の負担が大きくなることから、不漁の場合には採算割れをおこす可能性がある。 このため、これら漁船の効率的な操業に資することを目的として、漁獲量と漁獲量に大きな影響を及ぼす黒潮乖離距離との関係を明らかにするとともに、キンメダイ単価および出漁経費から採算分岐点となる黒潮乖離距離を算出した。算出にあたっては、これらの漁場では、キンメダイを捕食するイルカの出現が操業に大きな影響を与えることから、イルカの非出現日・出現日にそれぞれ区別した。 |
成果の内容・特徴 | 1 黒潮乖離距離は釣獲尾数と正の相関があり、寄与率も高く、出漁判断を行う上で最も有効な指標と考えられた。キンメダイ漁は、(1)黒潮乖離距離が50km以上であること、(2)表層流速が1.5マイル以下であること、(3)200m層水温が15.5℃以下であること、の三つの条件が満たされるほど、好漁が期待できると考えられた。(平成16年度成果情報参照) 2 A全操業日、Bイルカ非出現日、Cイルカ出現日の各ケースとも、黒潮乖離距離(x)と日別平均漁獲量(y)との間には、いずれも正の相関が見られたが(p 0.01)、その寄与率r2は0.299‐0.325と低かった。 3 イルカの出現に伴い日別平均漁獲量は、16.8‐18.4%まで減少した。 4 黒潮乖離距離(x)と日別漁獲金額(y)の相関式は、Aのケースでy = 1.358x + 48.399、Bのケースでy = 1.363x + 54.182、Cのケースでy = 1.108x + 45.070とされ、1晩操業の採算分岐点となる黒潮乖離距離は、Aのケースで74.8km、Bのケースで70.3km、Cのケースで94.7kmと算出された。 |
成果の活用面・留意点 | 本研究の結果は、立縄釣り船の出漁判断に有用であることから、小釣研究会等を利用して漁業者への普及に努めている。 |
図表1 | 229924-1.pdf |
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