タイトル | 仕切網による磯焼けからの藻場の回復試験 |
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担当機関 | 大分県農林水産研究センター水産試験場 |
研究期間 | 2001~2004 |
研究担当者 |
尾上静正 |
発行年度 | 2006 |
背景・ねらい | 本県豊後水道域の3カ所では1994年頃からカジメ類やホンダワラ類の大型褐藻類が消失・衰退する磯焼けが発生し、その後拡大していないものの回復していないため、アワビ類などの漁獲量減少の一因とも考えられ、漁業者からは磯焼けからの回復を切望する声が大きい。 |
成果の内容・特徴 | クロメの人工種苗を使った野外実験によって、ネットで覆ったクロメは成長するが覆っていないものではクロメが葉状部から消失していくことから、その原因は生物からの食害であることが明らかとなった。 ウニ類などの生息密度が異なる2カ所の海域でも同様な結果が得られたことから、食害の原因は魚類であるものと推定された。 鶴見大島の磯焼け域にクロメを設置して水中テレビカメラで観察したところ、ブダイがクロメを採食するのが確認された。蒲江での魚類の消化管内容物調査では、ブダイ、アイゴ、イスズミ類で大型褐藻類が見られた。 佐伯市鶴見大島の磯焼け域に仕切網(30×100×8m、網目5節)を設置してブダイなどの藻食性魚類の侵入を阻止し、その中に10月にクロメ、6月にホンダワラ類、の母藻を移植してスポアバックを行った。その結果、翌年3月には仕切網の内側の転石にホンダワラ類がおよそ7トン生育した。 |
成果の活用面・留意点 | 磯焼け域において魚類からの食害を防止するとともにスポアバックを併用することによって藻場が回復することを比較的広い範囲で実証した。比較的広い範囲の食害防止方法として仕切網を用いたが、波浪の強い場所では耐久性に問題があるため、それぞれの地先の環境条件に適した食害防止方法が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
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