南西諸島及び小笠原海域のハマダイの系群構造

タイトル 南西諸島及び小笠原海域のハマダイの系群構造
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所石垣支所
研究期間 2004~2004
研究担当者 加藤雅也
小菅丈治
青沼佳方
木曾克裕
発行年度 2006
背景・ねらい
ハマダイを含む深海性フエダイ科魚類4種は南西諸島及び伊豆・小笠原海域における重要な漁獲対象種であるが、漁獲量の減少が顕著であるため「マチ類資源回復計画」によって南西諸島に16の保護区が設置され、資源の回復が図られている。マチ類の系群構造を把握することは、保護区内で想定される産卵親魚量の増加が他の海域に波及効果を及ぼすかどうかを見極める上でも重要であるが、知見がなかった。そこでハマダイの系群構造を把握するために、南西諸島の奄美(トカラ列島)、沖縄本島、石垣、与那国、及び小笠原近海で漁獲されたハマダイを入手し、遺伝的解析及び側線鱗数の比較を行った。

成果の内容・特徴 1)奄美、沖縄、石垣、与那国、小笠原近海産ハマダイ32~76尾の筋肉及び肝臓から取り出した試料に基づき、アロザイム電気泳動法によって3つの多型遺伝子座で出現頻度を比較した(表1)。集団間で出現頻度に統計的有意差が見られなかったことから、5つの集団は隔離されておらず、交流があると考えられる。

2)奄美、沖縄、石垣で得られた尾叉長35~45cmのハマダイ各50個体について側線有孔鱗数を計数したところ、鱗数の頻度分布は奄美と石垣の間で有意差(χ2検定)が見られた(図1)。このことは、鱗数が決定した以後、すなわち底生生活に移行した後の奄美と石垣との間で移動が少ないことを示している。

成果の活用面・留意点
今回の結果から、ハマダイは卵稚仔の間に広汎に分散する可能性があり、底生生活に移行した後の移動は小規模であるという生活様式を送ることが想定される。資源回復計画等に基づき保護区を設定し産卵親魚量を確保することの効果が、広い海域に波及することの可能性を科学的に論証でき、今後の資源回復計画見直しに際しても有用な情報となる。


図表1 229938-1.pdf
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