南極ロス海域における海洋-オキアミ-ヒゲ鯨類の生態的連関

タイトル 南極ロス海域における海洋-オキアミ-ヒゲ鯨類の生態的連関
担当機関 外洋資源部
研究期間 2006~2010
研究担当者 永延幹男
発行年度 2007
背景・ねらい
南極海のナンキョクオキアミとそれを餌とする鯨類は、有用生物資源および自然生態系を理解していくうえで重要な対象種である。南極海洋生物資源の保存管理に関わるCCAMLRとIWCは、南極海での海洋環境-餌生物-捕食者の生態的連関に強い関心をもっている。しかし、こうした総合的生態系調査の実施は、単一の調査計画のみではむずかしい。この課題意識に応じ、水産庁開洋丸と調査捕鯨(JARPA)との共同調査を2004/05年南半球夏季にロス海域で実施した。両方の特徴を活かし、開洋丸が海洋環境とオキアミ調査に重点をおき、JARPの鯨類情報と統合する試みである。

成果の内容・特徴 1.ロス海の海氷域が全開したため、調査範囲を拡大し、ロス海のほぼ全体像を捉えることができた(図1)。海洋環境を構造的に捉えるために、表面から200m間の水温積算平均値を環境指数(ITEM-200)とした。ITEM-200と水塊分布とがほぼ一致し、南極周極環流域(ACC;ITEM-200=1.0℃以上)、南極表層水域(ASW;0~-1.0℃)と陸棚冷水域(SW;-1.0℃以下)となった。
2.ITEM-200を環境座標として、オキアミと鯨類の主分布域が規則性をもって配列していることがわかった(図2・3)。ナンキョクオキアミ(Euphausia superba)はASW、コオリオキアミ(E.crystallorophias)はSW、およびザトウクジラは0℃を中心としたACCとASWの移行域、そしてクロミンククジラは-1.0℃を中心としたASWとSWの移行と一致した。

成果の活用面・留意点
1.ロス海の生物資源と環境との分布様式が構造的に明らかになり(図4)、ロス海生態系の理解およびCCAMLR等の保存管理への基盤知見となる。
2.限定調査の地域スケールの規則性が、南極海の全体スケールに渡って拡張できることが期待され、南極海洋生物資源の保存管理への基礎資料となる。


図表1 229947-1.pdf
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