水産資源の将来を予測する

タイトル 水産資源の将来を予測する
担当機関 北海道立中央水産試験場
研究期間 2003~2004
研究担当者 山口宏史
発行年度 2007
背景・ねらい
 北海道では古くから資源管理に取り組んで来た。しかしながら、本道周辺海域に生息する水産資源は資源量が減少しているものが多く、必ずしも資源管理がうまくいっているとは言えないのが現状である。本研究では、水産資源に対して様々な資源管理方策をとった場合の資源管理効果を計算する手法を開発し、水産資源の将来を科学的に予測することを目的とした。

成果の内容・特徴  資源量推定値やその他の資源パラメータの推定に関する誤差(間違いの程度)と予測加入量の変動の程度を考慮した資源の将来予測モデルを開発し、特定の管理方策を実行した場合の将来予測を行った(図1)。
 ある実在する資源に対して12通りの管理方策(表)を行った場合、将来の資源尾数や漁獲量がどのようなるかを、それぞれの管理方策ごとに1,000回のシミュレーションを行うことで予測した。
 結果は、10年後の資源尾数(図2上図)と30年間の漁獲量(図2下図)が、現在のまま漁獲を行ったときを1として、それぞれどのような値が記録されるかを示してある。2倍以上になったものは管理効果が高いことを示し、反対に0.5以下になったものはリスクが高いことを示している。
 図2上図は30年後の資源重量でそれぞれの管理効果を比較した結果を示している。これを見ると、方策1-4、2-4、3-3、3-4が効果的な方策と見ることができる。しかし、図2下図で、30年間の漁獲量を判断基準で管理方策を比較してみると、管理方策3-4が管理方策1-4、2-4、3-3より効果があるという結果が得られた。このように管理方策の効果判定基準を何に設定するかによって判断が異なることが解る。

成果の活用面・留意点
 上述のように、管理効果判定基準によって判断が異なることが解った。資源管理に関わる、漁業者、行政、研究者、受益者である道民それぞれが、水産資源に望む事柄は異なるので、この研究のように様々な視点から見た管理効果を提示することによって、それら対立した要求を包括する資源管理という合意形成に向け、議論の材料を与えることになると考えられる。


図表1 229954-1.pdf
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