カキの産地判別技術の確立

タイトル カキの産地判別技術の確立
担当機関 宮城県水産研究開発センター
研究期間 2005~2005
研究担当者 須藤篤史
酒井敬一
発行年度 2007
要約 宮城県産カキと韓国産カキの判別の指標として、脂肪酸組成が有効であることを2005年に当情報に掲載した。その後、この手法をより安定的で精度の高い判別技術として確立させるために、年齢、垂下深度、保存条件による差異、季節変化、より広範囲な漁場特性を把握するとともに個体別脂肪酸組成分析技術の開発を行った。
背景・ねらい 平成14年度に韓国産カキの混入問題が発生し、大きな社会問題になった。これに対して宮城県ではカキの脂肪酸のうちリノール酸、α-リノレン酸、オクタデカテトラエン酸の3成分の比率が韓国産に比べ宮城県産で高く、判別要因となり得ることを明らかとし、その成果を2005年に当情報に掲載した。その後、宮城県公衆衛生協会、宮城県漁連等と連携して判別技術の精度向上に取り組んだ。
成果の内容・特徴
1)年齢、垂下深度の影響:
年齢が高いほど3成分の合計値が高くなる傾向はあったものの、その差は漁場間差に比べ極めて小さかった。また垂下深度が浅い方が高い値を示したが、産地間差に比べ小さく無視できる程度であり、同一漁場から採取したものであれば、年齢・垂下深度は無視できる範囲であった。
2)保存条件の影響:
冷蔵保存では塩分濃度、塩素濃度に多少の違いがあっても脂肪酸組成に変化が無く、分析試料として有効であることを確認した。また冷凍保存した場合でも、7ヶ月後までほぼ変化が無かった。
3)養殖場別、時期別の変化:
県内13漁場の調査を実施した結果、閉鎖性の強い海域で3種脂肪酸の合計値が高くなる傾向が見られ、また、9月から1月までは宮城県産で3種脂肪酸の合計値が高いことが再確認された。2月になると韓国産の3種脂肪酸の合計値が急激に高くなり、その傾向が3月にも継続した。そこで、3種以外の脂肪酸も含めて総合的に比較検討した結果、宮城県産と識別が可能であった。
4)個体別分析技術の開発:
軟体部のホモジナイズ方法の改良により、カキ一個体から分析可能な粗脂肪量を採取することが可能となった。この手法を用いて宮城県産及び韓国産かきを個体別に分析した結果、個体間の変動幅は漁場間差に比べかなり小さいことが判明し、韓国産カキと宮城県産カキを混合しても判別できる見通しがついた。
成果の活用面・留意点
  1. 偽装・混入の抑止効果を期待して、脂肪酸を指標にした産地判別の可能性についてマスコミも含め公表した。
  2. 偽装・混入の疑いがもたれた業者の製品を、06年にモニタリングした結果、出荷時期の終盤以前は、表示どおり宮城県産と判断できる数値を示したことから、混入が抑止されたと考えられた。
今後、混入の抑止が図られるとともに、データの蓄積により、疑念業者の監視強化について国に対して申し入れる際の裏付け資料となり得るものと考える。
図表1 229974-1.pdf
図表2 229974-2.png
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カテゴリ 出荷調整 分析技術 モニタリング

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