サンマ資源量の推定精度向上のための幼魚採集用漁具の開発と漁獲試験

タイトル サンマ資源量の推定精度向上のための幼魚採集用漁具の開発と漁獲試験
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所
研究期間 2006~2006
研究担当者 上野康弘(八戸支所資源生態研究室)
巣山 哲
中神正康
発行年度 2007
背景・ねらい
 サンマは毎年TAC(漁獲可能量)が設定され、資源が管理されている我が国の重要魚種である。このため資源評価を行い科学的データに基づきABC(生物学的許容漁獲量)を算定しているが、2002年以降は、漁期前の6~7月に調査船による中層トロールの漁獲調査結果に基づき資源量を推定している。サンマの産卵期は長く、調査直前まで継続しているため、調査時における0歳魚のサンマの体長範囲は約1~29cmと広い。しかしトロールにより漁獲されたサンマの体長頻度分布では、約15cm以下のサンマは非常に少ない。このため中層トロール調査のみでは15cm以下のサンマを過少に推定している可能性が高い。実際2005年のトロール調査では0歳魚の推定資源尾数は約53億尾であったにもかかわらず、2006年に1歳魚は約5倍の約252億尾と推定された。したがって、0歳魚の資源量推定の精度を向上させるためには、中層トロールでは漁獲することが困難なサンマ幼魚(5~15cm)を定量的に漁獲する漁具の開発が必要である。

成果の内容・特徴  幼魚を漁獲するための漁具としてフレームネット(網口2×2m、網長9.9m、コッドエンド目合2.5mm)を作製し(図1)、2004~2006年の漁期前の調査において、中層トロールと同時期、同海域で漁獲試験を行った。フレームネットで漁獲されたサンマの最小体長は毎年1cm台であった(図2)。体長頻度分布から2004年は13~14cmにモードがみられ、それより小さい体長では山がみられなかったが、2005及び2006年では主に3~6cmと10~14cmに山がみられた。特に2005年は5cmにモードがある小さい個体の割合が高かった。
 一方、中層トロールで漁獲されたサンマの最小体長は年により異なり7~12cm台であり、15cm未満の個体数割合は5%未満と非常に少なかった。体長頻度分布は約29cm以上の1歳魚とそれ未満の0歳魚に分かれ、2005年は特に0歳魚の漁獲尾数が少なかった。
 これらのことから、中層トロールではサンマの幼魚は漁獲されにくく、特に2005年は0歳魚の体長が小さかったことから、その資源尾数を過少評価していたことが明らかとなった。

成果の活用面・留意点
 サンマの資源評価の精度向上に利用できる。


図表1 229975-1.pdf
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