大阪湾に放流したホシガレイmtDNAの多型について

タイトル 大阪湾に放流したホシガレイmtDNAの多型について
担当機関 大阪府環境農林水産総合研究所
研究期間 2003~2007
研究担当者 辻村浩隆
発行年度 2007
背景・ねらい
ホシガレイは大阪ではヘイジガレイと呼ばれ親しまれていたが,数十年前から大阪湾での生息情報がない.大阪湾でホシガレイが再び漁獲されることを目指し,府内の漁業協同組合は2003年より種苗放流を始めた.大阪湾に定着させるためには,放流した個体がどのように分散し,また再生産を行うか,あるいは他の海域からの加入があるのか等を把握する必要がある.本研究では大阪湾に放流された2系統のホシガレイについてmtDNAのD-Loop前半における遺伝的多様性を調べると共に,再生産が行われた場合,その遺伝的由来を知ることが可能となるよう塩基配列の把握を行った.

成果の内容・特徴 ・mtDNAのD-LoopDNA前半の380bpの塩基配列を決定した(図1).
・岩手県の種苗も長崎県の種苗もそれぞれ同じ塩基配列の型(ハブロタイプ)を持っており,生産年による違いは見られなかった.
・岩手県と長崎県の種苗の間では,決定した塩基配列の前方から22番目と後方から43番目の2カ所に違いが見られた.
・岩手県と長崎県の種苗間では塩基配列の違いが少ないことから,簡易なPCR-RFLP(PCR産物の制限酵素断片長多型)法では区別が非常に難しいことが判明した.

成果の活用面・留意点
・ホシガレイでは全国的に塩基配列の変異が小さいことが推察されることから,大阪湾における遺伝集団を調査するには精度の高い核DNAを用いた方法を検討する必要がある.
・一般に天然の海産魚には多くのハブロタイプが認められるが,天然親魚を用いている長崎県の種苗でも多様性が見られず,ホシガレイでは多様性が低くなっている可能性があるので,種苗放流を行う場合,人為的に天然魚と同程度の遺伝的多様性や遺伝子型の組成を持つ種苗を生産し放流する必要がある.


図表1 230002-1.png
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