マイクロアレイを使った魚介類疾病の迅速同定・診断、防除技術の開発

タイトル マイクロアレイを使った魚介類疾病の迅速同定・診断、防除技術の開発
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所
研究期間 2002~2006
研究担当者 養殖研究所病害防除部(飯田貴次 他)
発行年度 2007
背景・ねらい
魚介類養殖業の発展に伴う生産量と養殖対象種の増加から疾病が頻発かつ多様化し、その被害額は年間290億円にも達して養殖業の持続的発展を阻害する大きな要因となっている。そのため、養殖業における魚病の防疫対策の確立が急務となっている。本研究では、マイクロアレイ(DNAチップ)を使った魚介類疾病の分子生物学的知見を集積するとともに、既知病原体に対する迅速・高度診断用のDNAチップを開発し、魚病発生の未然防止、疾病の早期発見・治療による魚病の蔓延防止により、安全・安心な養殖生産物の提供に資することを目的とする。

成果の内容・特徴 1.ヒラメ免疫関連遺伝子のDNAチップを用いて、各病源体感染時において特徴的に発現量が変動するヒラメ白血球遺伝子を明らかにした。さらに、ヒラメのβ溶血性連鎖球菌症ワクチンの有効性と関連する4遺伝子を特定し、ワクチンの有効率を推定する式を編み出すことができた。また、マダイイリドウイルス(RSIV)と宿主細胞遺伝子を集積したDNAチップを開発し、ウイルス遺伝子の発現機序および宿主遺伝子発現との相関を明らかにした。
2.主要な魚類病原ウイルス15種類のDNAをスポットしたDNAチップを作製し、病原ウイルスを網羅的に検出する方法を開発した。これにより養殖魚介類の主要なRSIV(マダイイリドウイルス)病やKHV(コイヘルペスウイルス)病などの病原ウイルスが海産魚類に於いて10種類、淡水魚類において8種類検出可能となった。一方、全ての主要な養殖魚介類の細菌性疾病を網羅する既知魚病細菌35種類を検出するDNAチップ(16Sチップ)と、16Sチップでは検出の困難なビブリオ属細菌(現在19種類)を検出するDNAチップ(ビブリオチップ)の実用化に向けた試験を行ない、十分な成果をあげた。

実用化をめざした病原細菌及びウイルス検出用DNAチップは、コストや検出精度、特殊な操作技術を要しない点で優れており、現在魚病診断の場でも使われ始めている。今後は、さらに魚病担当者などへの講習を行い、普及を図ってゆく予定である。なお病原細菌検出用DNAチップは特許出願中である。
成果の活用面・留意点
実用化をめざした病原細菌及びウイルス検出用DNAチップは、コストや検出精度、特殊な操作技術を要しない点で優れており、現在魚病診断の場でも使われ始めている。今後は、さらに魚病担当者などへの講習を行い、普及を図ってゆく予定である。なお病原細菌検出用DNAチップは特許出願中である。
留意点としては、作製したDNAチップはまださらなる実証試験を要するものがある一方、完成品であっても魚病は常に変化しているので、新たな状況への対応が必要であり、今後とも開発の継続が求められている。


カテゴリ 病害虫 コスト 防除

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