タイトル | ポータブル型近赤外分光分析装置によるマアジ、アカムツ脂質含量の非破壊測定とその活用 |
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担当機関 | 島根県水産技術センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
井岡久 開内洋 清川智之 |
発行年度 | 2007 |
背景・ねらい | 浜田のまき網のマアジの脂の乗りは、分析結果から4~8月には全国屈指とわかった。水技センターが行った官能試験結果から“脂の乗り”が良好と感じられる脂質含量が、およそ10%以上と考えられたため、これ以上のマアジを“どんちっちアジ”と呼んで地元業界ではブランド化を目指した。しかし、旬の時期でも10%を下回る事例が確認されたことから、現場で脂質含量を測定し、規格に合致していることを明らかにする必要が生じた。また浜田のアカムツは、脂の乗りが良いものの個体差が大きく、付加価値向上には、個体ごとの脂質含量の提示が重要と思われた。そのため本研究では、近赤外装置により脂質含量を非破壊で測定するための技術開発を行った。さらに、より有効な本装置の活用方法を模索することで、ブランド化や高付加価値化にどのような形で資することが可能か検討を加えた。 |
成果の内容・特徴 | ○測定部位や魚体サイズ等を考慮しながら脂質測定検量線を作成した結果、最も精度が高い検量線では、マアジでは化学分析値との相関係数は0.96、予測標準誤差が約1%、アカムツでは化学分析値との相関係数は0.98、予測標準誤差が約2%と、精度良くこれらの魚種の脂質含量を測定することが可能となった(図1、2)。 ○その結果、水揚げされたマアジの脂質含量を競りの前に現場で測定し、ブランドの基準(平均脂質含量10%以上)を満たしているか確認することが可能となった。 ○この装置を使って脂質含量の異なるマアジの開き干しを作製し、消費者に提供したところ、得られる満足度は異なった(図3)。 ○さらに、アカムツでは、水揚げ現場や小売店で脂質含量を測定し、数値を表示して販売したところ(図4)、“売りやすく買いやすい”といった、高評価が得られた。 |
成果の活用面・留意点 | ○確実に平均脂質含量が10%以上あるマアジを出荷できることが、ブランド化に大きく貢献した。 ○脂質含量ごとに分けることでさらにブランド化に資することが可能と考えられた。 ○その他の魚種や脂質含量以外の成分にも応用可能と考えられるので、マアジ、アカムツ以外の魚種や成分についても現在、調査・研究を行っているところである。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 高付加価値 出荷調整 |