沖合底びき網漁船における漁獲物の高鮮度保持について

タイトル 沖合底びき網漁船における漁獲物の高鮮度保持について
担当機関 北海道立中央水産試験場
研究期間 2003~2005
研究担当者 成田正直
阪本正博
発行年度 2007
要約 沖合底びき網漁船においてホッケ、スケトウダラ、カレイ類を対象に、冷却海水浸漬およびシャーベット海水氷による鮮度保持効果を確認した。また、陸揚げに滅菌海水を使ったフィッシュポンプ方式を採用した。これらの技術開発により、従来よりも高鮮度で衛生的な水産物の供給が可能となり、高い経済効果が得られた。
背景・ねらい 北海道の水産業において沖合底びき網漁業は、漁獲量全体の約20%と重要な位置を占めている。しかし、国際的な漁業規制や本道周辺海域の資源量の減少等によって、1船当たりの水揚げ量、生産金額が低下している。また、水産物の国内消費が低迷しており、付加価値の高い漁獲物、加工品の開発が望まれている。このため、沖合底引き網漁船の省人・省力化(省力船)に対応した、新たな冷却システムを開発し、高度な鮮度保持を施すことにより、品質の向上並びに安全性を高め、漁獲物の付加価値向上を図る。
成果の内容・特徴
  1. 省力船上で冷却海水浸漬を行ったホッケ、スケトウダラは、従来の氷掛けに比べ鮮度保持効果が認められた。また、1~2%塩分のシャーベット海水氷を用いることにより、ソウハチガレイの鮮度保持に効果が認められた。(図1、2)。
  2. ホッケ、スケトウダラを、滅菌海水を用いたフィッシュポンプ方式で陸揚げすることにより、従来のモッコ網を用いたクレーン方式に比べ、魚体表面の一般生菌数を百分の一に低減することができた(図3)。
  3. 省力船が陸揚げしたホッケは、一般船に比べ、産地取引価格で約4%高く取引された(図4)。
  4. 省力船が陸揚げしたホッケは鮮度が良好で付着する菌数が少ないこと等から、小樽地域ですり身以外の加工品(フライ素材、調味加工品等)として流通され始めた。これにより、年間6千万円以上の新たな市場(末端価格)が誕生した。
成果の活用面・留意点
  1. 一連の鮮度保持の取り組みにより、これまですり身加工の原料であった沖底船のホッケを、より付加価値の高いフィレー加工の原料として活用することが可能になった。これにより、将来の沖合底びき網漁業を展望する上でひとつの指針を示すことができた。
  2. 1~2%塩分のシャーベット海水氷は、真水氷に比べ鮮度保持効果に優れていることから、今後、一般船での活用と市場性を高める効果が期待できる。
図表1 230033-1.pdf
図表2 230033-2.png
図表3 230033-3.png
図表4 230033-4.png
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カテゴリ 加工 省力化

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