南三陸岩礁域におけるアラメ群落退行とキタムラサキウニとの関係

タイトル 南三陸岩礁域におけるアラメ群落退行とキタムラサキウニとの関係
担当機関 (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究期間 1999~2008
研究担当者 斉藤憲治(東北区水産研究所)
村岡大祐
発行年度 2008
背景・ねらい
 南三陸沿岸岩礁域に存在するアラメ群落が沖側から退行するという現象が1980年代より確認・報告されている。多年生褐藻であるアラメは主に秋から冬にかけて成熟し,遊走子を放出する。発芽した幼体(当歳体)は成長し,約1年後に成体となってアラメ群落の維持・拡大に寄与する。群落の減少は,アラメ等の海藻を餌料とするウニ・アワビ類などの漁獲にも影響を与えることから,群落退行の機構を明らかにする必要があるが,その詳細なメカニズムは明らかになっていない。本課題では,宮城県牡鹿半島岩礁域においてアラメと植食動物,特にキタムラサキウニの分布密度を調べることにより,群落退行とキタムラサキウニによる被食との関係を明らかにする。
成果の内容・特徴 1999年~2001年にかけて150mの固定ラインを岸側(0m地点;水深2m)から沖側(150m地点;水深9m)へ設置し,潜水調査を実施した。1999年8月,アラメ群落は固定ラインの64m地点まで存在していたが,2001年7月にはその下限界は53m地点になっており,2年間で沖側から11mの群落退行を確認した(図1)。2000年7月から2001年7月までの遷移をみると,アラメ幼体の発生は群落下限以深でも見られたが(2000年7月),これらは成体まで生残せず(2001年2月),既存成体の流失に伴って退行が進行した。キタムラサキウニは群落下限以深に多くが分布し、年を経るごとにその生息密度が上昇し、その生息範囲はアラメ群落の下限域退行に伴いアラメ群落内部へと拡大する傾向が認められた(図2)。以上の結果から,キタムラサキウニの高い摂食圧がこの地点におけるアラメ幼体の生残を阻害し,ひいては群落の退行を招いていると推察された。
活用面:
アラメ群落退行の一要因が推察され,効果的な群落回復方法(キタムラサキウニの除去等)の選択に貢献

成果の活用面・留意点
活用面:
アラメ群落退行の一要因が推察され,効果的な群落回復方法(キタムラサキウニの除去等)の選択に貢献

留意点:
1.キタムラサキウニの摂餌活動に影響を及ぼす水温変動等を含めた長期観察が必要
2.小型植食性巻貝など他の植食動物の影響についても検討が必要

図表1 230111-1.png
図表2 230111-2.png
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