タイトル | 群体を形成する珪藻タラシオシーラ ディポロシクルスの簡易で正確な細胞数の計数方法の開発 |
---|---|
担当機関 | 香川県赤潮研究所 |
研究期間 | 2007~2007 |
研究担当者 |
安部昌明 吉松定昭(香川県赤潮研究所) 大山憲一 |
発行年度 | 2008 |
背景・ねらい | 海水中の栄養塩(窒素、リン等)の不足により、本来黒色であるノリの色が茶色や薄茶色に変色する現象、いわゆる「ノリ色落ち現象」が、近年瀬戸内海で頻発し、ノリ養殖業上の大きな問題となっている。その一因として、ノリと栄養塩を競合する珪藻の大量発生による栄養塩の大量消費が指摘されている。このため海域に出現する珪藻の種類および細胞数は、ノリの生産管理上の重要な情報となっている。 塊状の群体を形成する珪藻タラシオシーラ ディポロシクルスは、1994年度冬季に瀬戸内海東部一帯で大量発生し、養殖ノリの色落ち被害をもたらした。2007年度冬季には、播磨灘や周防灘等の瀬戸内海ならびに八代海で大量発生し、一部の海域ではノリ色落ちの一因になった。本種は粘液質を伴った塊状の群体を形成し、群体の形状および大きさは変化に富み、細胞の大きさにばらつきがあることから正確な細胞数の把握が難しいという計数上の問題を抱えており、他のプランクトンのように細胞密度の調査結果が出されていない。このため海域間の違いや異なる年度間の出現の比較が困難となっている。そこで、本種の細胞密度を簡易で正確に把握する計数方法の開発に取り組んだ。 |
成果の内容・特徴 | タラシオシーラ ディポロシクルスを高密度に含んだ現場海水を1.採水当日に激しく振とう、2.採水1日経過後に激しく振とう、3.採水後暗所で1晩冷蔵保管してから激しく振とう、4.採水当日に超音波処理、の4通りの方法で群体の崩壊の程度を比較した。 その結果、3の方法によって個々の細胞を完全に分散させることができ、他の珪藻と同様に細胞単位で発生状況を捉えることが可能となった。 |
成果の活用面・留意点 | ○本計数方法は、特別な機器を必要とせず簡易で正確に計数できるため、モニタリング現場での普及が見込まれる。 ○細胞単位で計数できることから、他の珪藻との比較や海域の栄養塩への影響の把握が容易となり、ノリ養殖業者に質の高い情報を提供できる。 ○ノリ色落ちの発生予察や、発生機構の解明に役立てることが期待される。 |
図表1 | 230115-1.pdf |
カテゴリ | 茶 モニタリング |