キジハタの標識技術の開発

タイトル キジハタの標識技術の開発
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター玉野栽培漁業センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 山下貴示
小畑泰弘
発行年度 2008
背景・ねらい
玉野栽培漁業センターではキジハタ人工種苗の標識放流を行い,放流魚の漁獲に占める割合(混入率)を調査している。放流種苗の大きさが全長9~10cmと小さいため,用いる標識は小型の種苗に装着可能な腹鰭切除標識を用いている。しかし,この標識には切除した腹鰭が完全に再生し天然魚と判別できない場合があるため,推定された混入率が過小になると指摘されている。そこで,切除した腹鰭の再生率(判別できなくなる割合)を把握するとともに,鰭を切り残した場合の再生率も調査した。
成果の内容・特徴 標識放流に用いた種苗(平均全長94mm)のうち100尾を陸上水槽で飼育して,漁獲サイズまで成長する2年後までの腹鰭の再生率を調べた結果,2年後までに約9割が生残し,1年後の再生率は22%,2年後は32%であった(図1)。このことから,この標識を用いた場合,放流2年後には約1/3程度の放流魚が天然魚と識別できなくなることが明らかとなった。次に,鰭の付け根から切除した場合(全切除)と付け根から鰭を1mm程度残した場合(90%切除)の再生率を比較した。(写真1,2)。平均全長89mmの種苗100尾ずつを飼育した結果,両試験区とも2年後までに約9割が生残し,1年後の再生率は全切除が0%,90%切除が40%,2年後は全切除が17%,90%切除が63%であった(図2)。このことから,この標識は丁寧に鰭の付け根から切除したとしても2割弱は再生すること,切り残しがあると6割以上も再生することが明らかとなった。

キジハタの標識放流では約5千~1万尾の種苗全てに標識を付けるため,鰭の切除作業が雑になることもあり,完全に鰭を付け根から切除できない個体がでてくることもあるため,より鰭の再生が少ないといわれている鰭抜去(鰭を根本の骨ごと抜き取る方法)の再生試験や新たな標識手法の開発が必要である。
成果の活用面・留意点
・キジハタの標識手法が開発されることにより,キジハタの放流効果の把握が可能となる。
・放流効果の把握により,キジハタ栽培漁業の促進が可能となる。

図表1 230121-1.pdf
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