タイトル | 乾のり塩分に関与する要因 |
---|---|
担当機関 | 千葉県水産総合研究センター |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 |
吉野暢之 大槻直也 大藤友季子 田辺 伸 |
発行年度 | 2008 |
背景・ねらい | 近年、しっとり感やうま味を増すために、塩分が高い乾のり製品が増えている。しかし、塩分が高い乾のりは湿気やすい、焼き色がでないといったクレームの原因になる場合がある。乾のりの塩分は、すき水塩分を調節することで、ある程度調節することができるが(図1、平成17年度および18年度に検討)、同じすき水塩分で製造した乾のりであっても、乾のりの塩分が異なる場合があり、その原因が不明であった。そこで本研究では、すき水以外に乾のりの塩分に影響する要因を明らかにするため、製造モデル試験を行い、漁場環境塩分、製造方法(活性タンクからミンチに使用する海水塩分、真水洗浄時間、すき水脱水の程度)、原藻(原藻摘採回数および原藻塩分)と乾のり塩分の関係を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1 原藻(1月1番手から4番手摘採)を4段階(2.65%、2.90%、3.15%、3.40%)の異なる塩分環境の水槽内で2日間養生後、模擬的に乾のりを製造し、養生中および製造中の塩分変化を追跡したが、環境塩分は乾のり塩分に影響しなかった(図2)。 2 製造工程において、活性タンク攪拌からミンチに使用する海水塩分および真水洗浄時間が乾のり塩分に与える影響は僅かであった。また、すき水脱水の程度が強いほど乾のり塩分が低くなり、脱水の程度が弱いと乾のり塩分が高くなる傾向が見られたが、通常の製造方法の範囲内であれば、その影響は僅かであった(図3)。 3 原藻摘採回数(1番手から4番手)は乾のり塩分に影響しなかったが、原藻塩分が高いほど、乾のり塩分が高くなった。原藻の段階の塩分が0.2%違うと、完成した乾のり塩分が1%弱違ってくることが明らかになった(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 平成17年度および18年度の試験とあわせると、乾のりの塩分に影響する主な要因は、すき水塩分と原藻塩分の2つであることが明らかになった。今後、原藻の塩分を現場で簡易に測定する方法が確立されれば、乾のりの塩分を調節することができ、乾のりの品質安定が期待される。 |
図表1 | 230156-1.pdf |