紀伊半島南西岸におけるイサキの資源生態

タイトル 紀伊半島南西岸におけるイサキの資源生態
担当機関 和歌山県農林水産総合技術センター
研究期間 1998~2007
研究担当者 小久保友義(和歌山農水技セ水試)
小川満也(和歌山県東牟婁振興局)
土居内 龍
発行年度 2008
背景・ねらい
イサキは紀伊半島南西岸において重要な漁獲対象種であるが,近年漁獲量が減少している。したがって,適切な管理を行い資源状態の回復を図ることが急務であるが,そのためには資源生物学的特性の解明が必要である。そこで,年齢と成長,成熟,性比等の解明を行うとともに,資源量の推定を行った。
成果の内容・特徴 1イサキ1,043個体について,耳石横断面上の輪紋計数を行った結果,0~21歳の個体が認められた。最高年齢は,従来の知見(10歳前後)を大きく上回るものであった。
2長式を算出したところ,他海域のものに比べて成長が遅いことが分かった(図1)。他海域では,年齢査定形質として鱗や耳石の表面観察を用いているが,これらの手法は年齢を過小評価することが知られており,研究結果の相違は手法の違いに起因すると思われる。
3 生殖腺指数の経月変化より,産卵期は4月から7月(盛期は5月と6月)であると考えられた(図2)。また1歳では雌は全く成熟しないのに対して雄は一部の個体が成熟すること,雌雄とも2歳より全個体が成熟することが推測された。
4 性比の経月変化を調査した結果,一本釣りと定置網の両方において, 5,6月に雌が多く認められ(図3),産卵回遊の際に雌雄の行動に何らかの差異があることが示唆された。
5 VPA (Virtual Population Analysis) により資源量を推定した結果,近年は,ほぼ横ばいに推移しているものと考えられた(図4)。
成果の活用面・留意点
現在,当海域では産卵親魚確保を目的として,一本釣り漁業者の間で小型魚(全長20cm未満)の再放流が実施されている。この効果が本格的に現れるにはあと数年かかると推測され,引き続き資源管理を実施するとともに,資源状況のモニタリングを継続する必要がある。

図表1 230177-1.pdf
カテゴリ モニタリング

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