タイトル | 藻場衰退域における残存群落の食圧制限要因の解明と藻場造成実証試験 |
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担当機関 | 宮崎県水産試験場 |
研究期間 | 2003~2007 |
研究担当者 |
荒武久道 |
発行年度 | 2008 |
背景・ねらい | 本県沿岸の藻場衰退域において藻場の回復を制限している最も主要な要因は植食動物の高すぎる食圧である。現在でも良好に残存する藻場に存在すると予測される植食動物の食圧低減条件を解明するとともに,低食圧条件の人為的な再現手法を検討し,有効な藻場造成技術の開発に資する。 |
成果の内容・特徴 | 1 残存藻場の観察から得られた植食動物の食圧低減条件 浅所,周辺より高い基盤上,V字型地形の奥,岬の先端において認められた相対的に強い波浪流動, 及び海藻生育基盤周辺における砂泥の存在が植食動物の食圧を低減すると考えられた(表1,図1)。 2 転石帯におけるウニ類の食圧低減手法~ウニ類除去区縁辺部における繰り返し除去 高密度で生息するムラサキウニの高すぎる食圧により藻場の回復が制限されている転石帯では,20× 20m規模の1回の除去では除去効果は持続しないが,除去区の外縁に沿った幅4mの範囲(縁辺部)に おける1か月間隔で行う繰り返し除去によって除去効果を持続できた(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1 残存藻場の地理,地形,構造等条件を模倣することで,波浪流動または砂泥の存在が持つ食圧低減条 件を藻場造成に活用できる。残存藻場の具体的な観察事例は藻場造成の際の適地選定の指標にもなる。 ただし,これらの観察事例が示す食圧低減条件は,植食動物を完全に排除するものではないため,他 の条件の存在によっては無効となる可能性もある。 2 縁辺部における繰り返し除去は,転石帯における有効なウニ類除去技術の一つとして応用できる。 ただし,ウニ類の移動等の行動は種によって,また,波浪流動や底質によって異なる可能性があるた め,様々な条件下でのより詳細な検証が必要である。 |
図表1 | 230184-1.pdf |