タイトル | 東京湾奥におけるシラス期アユの主生息場 |
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担当機関 | 東京都島しょ農林水産総合センター |
研究期間 | 2004~2007 |
研究担当者 |
小泉正行 |
発行年度 | 2008 |
背景・ねらい | 東京湾から遡上する稚アユは、川や東京湾の水質が著しく悪化した高度経済成長期にその数を著しく減じたが、近年、水質の改善が進み再び遡上数が増えてきた。アユの遡上数をさらに増加させるには、河川の環境整備のほか、東京湾に流下したシラス期アユの主生息場を明らかにして、生息場の保全や造成などの港湾環境整備に提言できる成果が期待されている。そこで、東京湾奥の垂直護岸、干潟周辺及び運河等の様々な地点で調査を行い、アユの生息場を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1,東京湾奥の各所で小型地曳網とソリネットを使用して、シラス期アユの採集を行った(図1、写真1,2)。干潟では小型地曳網、その沖合深場や垂直護岸、河口域ではソリネットによる深度別採集(3層)を行った。 2,シラス期アユは、東京湾に面する干潟の波打ち際で著しく多く、沖合では少なく、運河沿いの波打ち際(平成16年のみ実施)や直立護岸の前面では採集されなかった(図2、表1)。 3,湾奥で採集したシラス期アユ(写真2)と多摩川下流で採集された遡上期の稚アユの耳石解析(写真2)から、ふ化の早い稚アユほど遡上が早く、遡上時の体長も大きい傾向がみられた。また、遡上盛期(4月)の稚アユは、概ねその前年の10月下旬~12月上旬にふ化して流下したアユであることがわかった(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | ・アユ資源の成育環境として、内湾干潟等の浅場が重要であることがわかった。これらは関係機関の内湾漁場整備の基礎となる。 ・アユのふ化時期別回帰率は明らかではないが、遡上盛期の稚アユのふ化時期を推定した結果は、河川における産卵場造成などを行う場合の参考となる。 |
図表1 | 230187-1.pdf |