| タイトル | ヤシガニの飼育下での交接・産卵の試み |
|---|---|
| 担当機関 | (独)水産総合研究センター 西海区水産研究所 |
| 研究期間 | 2008~2010 |
| 研究担当者 |
佐藤 琢 |
| 発行年度 | 2008 |
| 背景・ねらい | 熱帯・亜熱帯地域に棲息するヤシガニは、近年世界的に資源量が減少しており、日本でも絶滅危惧II類(絶滅の危険が増大している種)に指定されている。本種は食材として過度に利用されており、それが資源量減少の原因として考えられている。しかし、本種の繁殖生態についてほとんど明らかにされていないことから、未だに効果的な資源管理策は提案されていないのが現状である。そこで、本種の繁殖生態の解明を目的に、飼育下での交接・産卵を試みた。 |
| 成果の内容・特徴 | (1)交接の再現:飼育試験と平行して行っていた野外調査の結果から、雌の腹部の膨満度が繁殖状態(交接前、交接後、抱卵後)によって異なることが明らかになったため、様々な腹部膨満度の雌を用意して、飼育下での交接を試みた。その結果、雌の腹部膨満度を数値化すると、ある一定値以上の雌は全て雄と交接した。それに対して膨満度が低い雌では交接は見られなかった。飼育下での本種の交接の再現は世界初のことである(図1)。 (2)産卵の再現:本種の産卵については観察例がなく、産卵条件については全く明らかにされていないのが現状である。そこで、石灰岩などを用いて野外の生息環境を模した水槽内で雌を産卵させることを試みた。7個体の雌にまず飼育下で交接をさせ、交接後すぐに上述の水槽内に個別に移して飼育した。その結果、7個体中3個体が受精卵を抱卵した。それに対して、水槽内に隠れ場を用意しなかった場合、交接した雌にもかかわらず全ての雌で産卵が見られなかった。これらの結果から本種は巣穴内で産卵することが示唆された。飼育下での本種の産卵の再現は世界初のことである(図2)。 |
| 成果の活用面・留意点 | 1)雌の腹部膨満度を数値化することにより、交接に用いる雌の選定が可能である。 2)今回開発した交接・産卵の手法は資源管理策策定に向けた雄の体サイズごとの繁殖能力の推定や種苗生産・放流に向けた安定的な採卵技術の確立に利用できる。 3)交接においては非常に高い確率で再現できるが、産卵に関しては未だ再現率が低く、産卵条件を今後詳細に調べていく必要がある。 |
| カテゴリ | 亜熱帯 繁殖性改善 |
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