陸上水槽を用いたヤイトハタ(ハタ類)の高密度養殖

タイトル 陸上水槽を用いたヤイトハタ(ハタ類)の高密度養殖
担当機関 沖縄県水産海洋研究センター
研究期間
研究担当者 伊差川哲
金城清昭
須永順平
知名真智子
中村博幸
末吉誠
野甫英芳
発行年度 2008
背景・ねらい
ハタ類は遊泳性が乏しく,低酸素条件にも比較的強いことから高密度での飼育が可能と考えられ,ヤイトハタを用いて陸上高密度養殖の技術開発試験を実施した。試験は高密度下での成長,生残,餌料効率および養殖密度に関する基礎データを収集するモデル試験と,ヤイトハタを養殖している伊平屋村漁協陸上養殖施設での実用化試験を並行して実施し,技術開発と技術移転を同時に行うことを目的とした。
成果の内容・特徴 1.水産海洋研究センタ-の1kLおよび2kL円形FRP陸上水槽(流水式)を用いて高密度養殖モデル試験を行った。換水率は,47.3~103回転/日と高く維持した。通気は,エア-スト-ンを投入して強爆気とした。

2.試験開始時(2007年8月18日)に平均体重8.3gであった試験魚は,2007年7月5日(580日後)に平均体重1,232gに成長し(図1),収容密度は151kg/kLに達した(図2)。低水温期に成長の停滞がみられたが,高密度の影響による成長の遅れや魚病の発生は観察されず,餌料効率は76.9%,生残率は84.5%と良好な結果であった。水産海洋研究センタ-石垣支所のコンクリ-ト陸上水槽を用いて行った試験(収容密度12.4kg/kL)より生残率は若干劣るが,約12倍の高密度においても同等の成長を示し,餌料効率は良い結果を得ることが出来た(表1)。

3.伊平屋村漁協陸上養殖施設の50kL円形水槽(半閉鎖循環式水槽)を用いて,ヤイトハタ高密度養殖の実用化試験を行った。換水率は約1.5回転/日で,循環濾過による飼育水の回転率は約30回転/日であった。通常の空気通気と併用して,小型酸素発生装置を用いた酸素通気を行った。

4.試験開始時(2004年8月3日)に平均体重9.7gであった試験魚は,2006年3月6日(686日後)に平均体重1,102gまで成長し(図1),収容密度は56.1kg/kLとなった(図2)。生残率は約92.7%,餌料効率は80.3%と良好であった。今回の高密度養殖は,従来の陸上養殖に比べ,生残率や餌料効率で差はみられなかったが,単位水量あたりの生産性は約2.8倍に向上した(表1)。
成果の活用面・留意点
1.本高密度養殖技術において,半閉鎖循環式水槽では飼育水に対して30回転/日以上の循環と1.5回転/日以上の換水を行うための海水の確保が,また,流水式水槽では飼育水に対して50~100回転/日以上の海水確保と十分な通気量の確保が必須条件である。 2.飼育水清浄のため,銅イオン発生装置の設置(銅イオン濃度は約50ppb)が必要である。さらに,台風等の停電における対応として,非常用電源設備の確保が不可欠である。

図表1 230204-1.pdf
カテゴリ くり

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