酒造好適米水稲新品種「吟の精」

タイトル 酒造好適米水稲新品種「吟の精」
担当機関 秋田県農業試験場
研究期間 1983~1992
研究担当者
発行年度 1992
要約 水稲「吟の精」は早生の晩・大粒・安定多収の酒造好適米粳品種であり、平成4年度から奨励品種に採用された。この品種は吟醸酒用の専用品種として醸造試験場及び酒造組合との共同研究によって開発を進めて来たものである。
背景・ねらい 秋田県の酒米奨励品種は「美山錦」があったが、吟醸酒の製造には特性が十分とは言えなかった。
昭和63年の酒税法の改正を契機に、県内の酒造業界から「秋田県独自の、
吟醸酒の製造に適した酒米品種」育成への要望が高まり、
醸造試験及び酒造組合との共同研究体制をとり、吟醸酒の酒米の育成を始めた。
成果の内容・特徴
  1. 「吟の精」は「合川1号」を母「秋系53」を父として人口交配を行い、
    平成2年F7で「秋田酒50号」の系統名を付し県内現地試験に
    供試すると共に、醸造試験を行い検討を 重ねてきた。秋田県では平成4年度から
    奨励品種に採用し、平成5年1月18日付けで「吟の精」の品種名で種苗法に基づく
    品種登録がなされた。平成5年でF10になる。
  2. 出穂期・成熟期は「美山錦」より早く、育成地では「あきたこまち」並の早生の晩に属する。
  3. 「美山錦」に比べ稈長は短く穂長もやや短いが、穂数は並のやや長稈穂重型である。倒伏抵抗性は
    「美山錦」より約2g重い大粒であるが、外観上の心白発現は極少ない。
  4. 耐冷性は「美山錦」より1ランク下の中だが、白ふの発生は「美山錦」より少ない。いもち病抵抗性遺伝子型はPi-zと推定され、圃場抵抗性は葉いもち、穂いもちとも現在のところ不明である。白葉枯病抵抗性は弱である。
  5. 醸造用玄米としての特性としては、「美山錦」より大粒であるが、玄米成分としての粗蛋白含量は
    やや多い。心白は少なく形状は点状で小さいが、高度精米時の無効精米が少なく50%
    精米特性では「美山錦」よりかなり優れている。また、浸漬時の割れ米が少なく原料処理上の
    操作性が非常に良い。
表1 「吟の精」の特性概要
表2 心白形状からみた粒質
表3 原料米の分析値
成果の活用面・留意点
  1. 熟期その他の栽培特性からみれば県内一円で栽培可能だが、需要動向その他からみて
    県南内陸平坦部で、団地栽培を中心350ヘクタール程度の普及が見込まれる。
  2. 高度精白用酒米品種であるため直接の代替対象商品はない。
  3. 基本的には「美山錦」に準じた栽培法をとるが、玄米の粗蛋白含量が高い傾向にある
    ので、酒米という用途を考慮し単なる多収を狙った多肥・追肥は謹む。
    追肥は幼穂形成期頃まで1回程度にとどめる。
  4. いもち病抵抗性遺伝子型はPi-zと推定されているが圃場抵抗性は不明なので、
    発病には 十分注意し必要な防除を行う。
  5. 「美山錦」より少ないが白浮の発生があるので、穂孕期の低温に注意する。
  6. 白葉枯病抵抗性は弱であるので、常発地帯では栽培しない。
図表1 230210-1.gif
図表2 230210-2.gif
図表3 230210-3.gif
カテゴリ 病害虫 いもち病 酒造好適米 新品種 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 防除

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