子牛飼料としての中鎖トリグリセリドの利用

タイトル 子牛飼料としての中鎖トリグリセリドの利用
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1992~1992
研究担当者
発行年度 1992
要約 脂肪酸の炭素数が8および10の中鎖トリグリセリド(MCT)を子牛飼料に添加(10%以下)給与することで、有効なエネルギー源となる。夏期における飼料の劣化防止にも有効である。
背景・ねらい 油脂工業の副産物として中鎖脂肪酸が派生している。中鎖脂肪酸のトリグリセリド
(中鎖トリグリセリド;MCT)は吸収されやすく、体内輸送系も長鎖脂肪酸と異なり
速やかに代謝されるので、医療面等で利用されている。一方、粗製のMCTの畜産的利用
についても関心が寄せられている。MCTの飼料としての利用に関して、第一胃内発酵に
及ぼす影響、長期給与時の発育や飼料消化性、血液性状などに及ぼす影響を解明し、
その給与法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 炭素数が8および10の脂肪酸からなる(約6:4)トリグリセリド(中鎖トリグリセリド;MCT)
    を子牛に給与して飼料消化、代謝および発育への影響を調べた。
  2. MCT給与子牛においては、第一胃内の繊毛虫が著しく減少あるいは消失し、
    揮発性脂肪酸(VFA)アンモニア濃度が低く推移した
    (図1)。
  3. 飼料のCP水準が15%の時にはMCTを給与しても繊維の消化率は低下しなかった。が、
    低蛋白質(CP約10%)の条件下では低下した。しかし、発育が進むと対照区との
    差が消失し(24~28週齢)、発育の低下も認められなかった(
    表1、
    2)。
  4. 哺乳子牛でも液状飼料のエネルギー濃度を高めるためにMCTを利用できる。
  5. MCT給与では長鎖トリグリセリド(LCT)給与と異なり、血漿脂質濃度が上昇しない
    (表3)。
  6. MCT摂取直後には肝臓でのケトン体合成が活発になるが、そのケトン体は急速に
    代謝・利用され、体内に蓄積することはない。
  7. MCTを添加した飼料では夏でも害虫の発生が非常に少ない。
成果の活用面・留意点 MCTは急速に代謝されるので寒冷期の子牛においては有効なエネルギー源になる。
また、濃厚飼料の昆虫発生・劣化の防止にも有効である。
このMCT(炭素数8、10のMCTの混合物)は液体であり、飼料の取り扱いなどの点から、
濃厚飼料への添加量は10%以下とする。
図表1 230290-1.gif
図表2 230290-2.gif
図表3 230290-3.gif
図表4 230290-4.gif
カテゴリ 害虫 輸送

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