タイトル |
のれん状電柵による簡易な家畜誘導装置 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1992~1993 |
研究担当者 |
須山哲男
目黒良平
梨木 守
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発行年度 |
1992 |
要約 |
パドックの幅方向に渡したのれん状電柵を水平移動することにより、家畜群を体重測定等のため所定の場所に誘導する簡易な家畜誘導装置を開発した。これを用いることによって誘導作業を省力、省時間で、家畜へのストレスが少なく行える。
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背景・ねらい |
生産現場や試験研究の場において、多頭数の家畜を体重測定、健康管理、搾乳等の ため所定の場所に誘導することが必要である。牛のような家畜では、群の後方から 追い立てる方法で誘導するのが一般であり、その作業は多労で時間を要し、また家畜に 与えるストレスも大きい。このためパドック内の家畜を省力、省時間的に、また家畜 へのストレスを少なく誘導する装置が望まれている。
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成果の内容・特徴 |
- パドックの幅方向に渡す横断線から電牧線を縄のれん状に一定間隔で垂らし、これを
パドックからシュート部を介して管理作業場所まで水平に移動できるようにした。のれん状 電柵の移動、小型電牧器から電柵への給電は管理作業場所で操作できる (図1)。
- 電柵を遠隔操作で家畜群の後方から近づけることにより、家畜を安全且つスムーズに管理
作業場所に誘導できる。
- これは、電気ショックの学習能力や、人が呼ぶことによる誘導は困難だが追うことでは
誘導しやすい、また群れ行動により集団で移動し易い等の家畜の習性を利用して誘導の 目的を達しようとする。
- 電気ショックは微弱なものであり、家畜は1、2回の接触によってそれを学習して回避する
ように移動する。慣れると接触させる必要はほとんどなくなる。このため、家畜に与える ストレスはきわめて小さい(写真1)。
- 電牧線を用いのれん状の形状とすることで、家畜体に接触し易い、家畜の行動の支障と
ならない、家畜に障害を与えない、家畜の行動による損傷が無い、軽量のため装置の構造 が簡単でまた応用がきく等の利点がある。
- 体重測定を例にとると、誘導、測定作業を1人で行うことも可能であり、この場合1頭当り
の作業時間は25秒まで短縮できた(表1)。2人の作業では この1/2~1/3程度となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本装置は簡易な構造で、設置場所の形状や大きさの変化に応じて構造を工夫でき、使用
用途が広い。
- 未経験家畜に使用するときは当初に学習させることが必要である。異なる年齢の家畜で
構成される群等を繰り返し誘導させる場合、群れの後部が特定の少数個体となることが あるので注意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
遠隔操作
きく
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