タイトル |
密植桑園の土壌無機態窒素濃度と枝条伸長速度 |
担当機関 |
岩手県蚕業試験場 |
研究期間 |
1992~1993 |
研究担当者 |
宍戸 貢
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発行年度 |
1992 |
要約 |
密植桑園の枝条伸長速度は表層の土壌無機態窒素濃度と相関が高く、おおよそ10~30mg/100gの窒素濃度のとき、伸長速度が大きい、この範囲では生育の旺盛なときほど、窒素濃度の高い方が伸長速度も大きい。
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背景・ねらい |
普及の著しい密植桑園の施肥管理は普通桑園の施肥体系を踏襲し、施肥量の見直しをした 程度にとどまっている。そこで、多収をねらいとした年間の窒素供給法を明らかにする ため、土壌無機態窒素の消長と各時期ごとの桑枝条の伸長との関係を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 春肥施用後の無機態窒素は長く施肥位置にとどまる。アンモニア態窒素を施用した場合、
高濃度では硝酸化成が抑制される(データ省略)。
- 桑枝条の伸長速度と土壌無機態窒素濃度とは高い相関がある。I層(0~10cm)の窒素濃度は
調査全期間を通して伸長速度と相関が認められたが、II層(10~35cm)の窒素濃度は 春切後の新梢では6月中旬以降、再発枝条では8月下旬以降に相関が認められた。
- I層の無機態窒素濃度が10~30mg/100gで伸長速度が大きく、この範囲では伸長の旺盛な
ときほど、窒素濃度の高い方が伸長速度も大きい。
- I層の無機態窒素濃度が10mg/100g以下或いは30mg/100g以上では伸長速度は小さくなる。
特に、窒素濃度が5mg/100g以下では伸長速度の低下が大きい。
- 以上のことから、I層の無機態窒素濃度を、桑の伸長初期10~20mg/100g、生育の旺盛な
時期20~30mg/100gとなるように施肥管理できれば、密植桑園での多収がねらえると 考えられる。ただし、再発枝条の場合は越冬との関係から、あまり遅くまで肥料を 効かせることはできない。枝条伸長停止期の20~30日前には窒素濃度が10mg/100gを 下回るよう、施肥管理すべきであろう。
- 密植桑園の多収をねらった施肥管理及び桑新肥料の実用化等の参考となる。
- これらの結果は腐植質火山灰土(CL~LiC)のかなり良好に管理された密植桑園で
得られたものである。硝酸化成能、窒素多施用に対する緩衝能や施肥窒素の土壌中の 拡散・移動などは土壌タイプや肥培管理で異なることから、成果の活用に当たっては、
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成果の活用面・留意点 |
- 密植桑園の多収をねらった施肥管理及び桑新肥料の実用化等の参考となる。
- これらの結果は腐植質火山灰土(CL~LiC)のかなり良好に管理された密植桑園で
得られたものである。硝酸化成能、窒素多施用に対する緩衝能や施肥窒素の土壌中の 拡散・移動などは土壌タイプや肥培管理で異なることから、成果の活用に当たっては、 収量水準を考慮した総合的な判断が求められる。
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図表1 |
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カテゴリ |
肥料
桑
施肥
肥培管理
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