高度耐冷性系統「中母59」の母本的有用性

タイトル 高度耐冷性系統「中母59」の母本的有用性
担当機関 青森県農業試験場
研究期間 1993~1993
研究担当者
発行年度 1993
要約 「中母59」は障害型冷害に対する極強の耐冷性系統であり、東北地方北部では中生に属する中稈・中間型の粳種で、高度耐冷性品種育成において母本として用いることによって耐冷性水準の向上が図られる。
背景・ねらい 寒冷地北部地帯及びこれより以南の中山間地帯では水稲の穂孕期及び開花期の低温・
少照により障害不稔が発生し易い。特に北東北の太平洋沿岸地帯はやませの影響を
受け易いため、これまで1980年や1993年のような厳しい冷害にしばしば遭遇している。
このような冷害を克服するために、現在の栽培品種より更に高度な耐冷性品種の
育成が望まれている。
そこで、高度耐冷性品種育成の過程で得られた「中母59」の耐冷性及び諸特性と
雑種後代における障害型耐冷性を明らかにし、今後の高度耐冷性品種育成に資料を
提供する。
成果の内容・特徴
  1. 「中母59」は、1986年青森県農業試験場藤坂支場において「北海PL3」(後の
    「水稲中間母本農8号」)を母とし、「中母35」を父として人工交配を行った雑種の
    後代で、1993年でF8世代である。
  2. 「中母59」の障害型耐冷性は、「アキヒカリ」熟期でこれまで最も強いとされてきた
    極強の基準品種「中母35」より明らかに強く
    (表1)、1993年の冷害においては中国雲南省等から
    導入された耐冷性遺伝資源より障害不稔が少なかった。
  3. 「中母59」を用いた雑種後代(F3)では、障害不稔が少ない個体が多く、
    高度耐冷性品種育成の母本として有効と考えられる
    (図1)。
  4. 「中母59」は「むつほまれ」と比較して出穂期は3,4日遅く、成熟期は「むつほまれ」
    並の育成地では中生に属する中稈・中間型の粳種である。収量性は劣るが、障害型冷害
    に強いため冷害年には収量の安定性を示す。千粒重は「むつほまれ」より重い。
    玄米は光沢がやや劣り、色沢がやや濃く、腹白が少し発現しやすく、品質は劣る
    (表2)。
成果の活用面・留意点 「中母59」の長所としては、高度耐冷性、登熟性、強稈性、いもち耐病性が
あげられる。欠点としては、収量性、品質、穂発芽性があげられるので、この系統を
母本とした高度耐冷性品種の育成に当たってはこれらの点に留意するとともに、出穂期
を1,2日早くすることによって北東北地帯に適した品種が育成されると考えられる。
図表1 230380-1.gif
図表2 230380-2.gif
図表3 230380-3.gif
カテゴリ 遺伝資源 水稲 中山間地域 凍害 品種

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