東北地域の水田におけるホタルイ類雑草の分布と出芽の年次変動

タイトル 東北地域の水田におけるホタルイ類雑草の分布と出芽の年次変動
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1993~1994
研究担当者
発行年度 1993
要約 東北地域の水田に発生するホタルイ類雑草の草種はイヌホタルイおよびタイワンヤマイである。両種の間には種子の休眠性および出芽特性に差異があり、出芽率の年次変動の要因として種子の休眠覚醒に及ぼす土壌中の温度条件が重要である。
背景・ねらい ホタルイ類雑草はホタルイに形態の類似する複数の草種を指すが、これらの雑草は
種によって生態的特性が異なり、合理的な防除法確立のためには区別して扱う必要が
あるため、東北地域の水田における発生草種を調査した。また、東北地域でホタルイ
類雑草が難防除雑草となっている原因として、発生期間が長く不均一であること
(不斉一発生)が考えられるため、要因解明のために種子の発芽及び出芽に関する
基礎データの蓄積を行った。
成果の内容・特徴
  1. 東北地域の水田におけるホタルイ類雑草の草種はイヌホタルイとタイワンヤマイで、
    タイワンヤマイが大河川の下流域や、日本海側及び山間の豪雪地帯に多い傾向にあるが、
    調査地点の60%で両種が混在しており、東北においてはこれら2種を念頭に置いた防除
    体系の組立が必要である(図1)。
  2. イヌホタルイとタイワンヤマイの出芽は30~15度Cの範囲では温度の高いほど良好で、
    出芽の最適温度は発芽の最適温度と同様に30度C前後である
    (図2,図3)。
  3. 湛水土壌中における貯蔵温度は比較適低温(20~15度C)での出芽率に影響し、
    イヌホタルイとタイワンヤマイでは出芽に好適な貯蔵温度が異なる
    (図2)。
  4. 圃場の土壌中から回収した種子の屋外条件と15度C条件における出芽率に明瞭な年次変動
    が認められ、年次変動の傾向はイヌホタルイとタイワンヤマイで異なる
    (図3)。
  5. 湛水土壌中における貯蔵温度は種子の休眠覚醒程度に影響し、種子の休眠覚醒に
    イヌホタルイはタイワンヤマイよりも低温の要求性が強い
    (図4)。
  6. 以上の結果、イヌホタルイとタイワンヤマイは種子の休眠覚醒特性および出芽特性が
    異なり、趣旨の休眠覚醒および出芽率に湛水土壌中の貯蔵温度が大きく影響する
    ことから、出芽の年次変動の要因として土壌中の温度条件が重要である。
成果の活用面・留意点 土壌中の貯蔵温度と出芽率との関係は、ホタルイ類雑草の発生量および発生草種の
予測のための基礎データとして利用できる。その際、冬~春の地温が重要な要因と
考えられるが、代かき以降の短期的な温度変動が発生消長に影響することが指摘
されており、気象条件と出芽の年次変動との関係についてはさらに検討を要する。
図表1 230391-1.gif
図表2 230391-2.gif
図表3 230391-3.gif
図表4 230391-4.gif
カテゴリ 病害虫 雑草 水田 難防除雑草 防除

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる