タイトル |
水田農業担い手組織を核とした地域転作の推進 |
担当機関 |
山形県立農業試験場 |
研究期間 |
1993~1993 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1993 |
要約 |
地域転作推進のため転作作業と経営を実地に担当する地域転作担い手組織が必要であるが、大豆・麦を中心とした転作組合では経営が不安定な場合が多いため、稲作と複合部門を加え、水田全体を活動対象とした水田農業担い手組織に発展することが望ましい。そして、それにより地域における転作推進と稲作展開が図られる。
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背景・ねらい |
転作推進のために、転作地の団地化や集団化、さらには、地域的対応が重要である。 加えて、この課題は長期に渡り続いていることから、より、発展的方向性を明らかに する必要がある。
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成果の内容・特徴 |
- 地域転作の推進には、地域全体の合意に基づく計画的な対応と団地化、さらに、集団
・組織による取り組みが重要である。そして、地域全体の転作対応をとりまとめ推進す る組織とともに、転作作業の効率化と収益向上のため、転作担い手を組織化し、大豆・ 麦等を中心部門にして地域の転作を受託する地域転作担い手組織を作る必要がある。
- その地域転作担い手組織の育成手順としては、地域転作の推進方向についての合意形
成、青壮年農業者からの転作担い手組織参加候補者の選定と勧誘、組織化、組織の経営 方式の決定と地区への周知と認知などを段階にしながら進めていくことになる。
- つぎに、置賜地域で大豆や小麦の受託を行い、さらに、稲作も導入している転作組合
を題材にし、転作担い手組織の運営実態をみると、転作作物の収益が低く組合の収支が 不安定であることやオペレーターの自家農業と転作組合作業の競合などの問題や、 オペレーターの従事期間ならびに収入の拡大などの課題が見られた。 また、地域においては、転作のみならず稲作の担い手の減少も進んでおり、今後の対 応が必要となってきていた。
- そこで、この転作担い手組織の転作受託計画と作物作付け計画を線形計画法等により
考察したところ、大豆・小麦に稲作部門を導入拡大し、さらに、ねぎ等の園芸作物を 加えることにより収益が拡大し、転作担い手組織の活動維持と経営確立が図られると 見られた。 さらに、地域水田農業の展開のため、作物作付けの方向をみたところ、大豆・小麦の 他に園芸作物を導入していくことが有効と考えられた。
- すなわち、転作担い手組織は転作対応の実務的機能を保ちつつ、稲作を基幹部門の
一つに据え、稲作受託を行うことにより経営を安定させ、転作対応レベルの組織から、 水田を全体として有効活用し、農業を展開する水田農業担い手組織に上昇していくこと が望まれる。 さらに、一層の構成員の労力活用・平準化と収益向上のため、複合部門も加えれば、 より理想的である。 そして、地域における転作推進と稲作展開のためにも水田農業担い手組織が確立し 展開していくことが望まれる。
表1 地域転作担い手組織の育成過程と水田農業 担い手組織への発展 表2 地域転作担い手組織部門計画案
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図表1 |
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カテゴリ |
経営管理
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