リンゴ果実の軟化におけるペクチン側鎖多糖分解酵素の役割

タイトル リンゴ果実の軟化におけるペクチン側鎖多糖分解酵素の役割
担当機関 果樹試験場
研究期間 1993~1993
研究担当者
発行年度 1993
要約 リンゴ果実の軟化時にペクチンの側鎖多糖に対して分解活性を持つβ-D-ガラクトピラノシダーゼアイソザイムとα-L-アラビノフラノシダーゼ活性が細胞壁で増大し、それに伴いペクチン側鎖多糖からアラビノースとガラクトース残基が消失することから、これらの酵素がペクチンの可溶化と果実の軟化に関与している可能性が示唆された。
背景・ねらい 果実の軟化は収穫後の品質や鮮度低下の大きな要因であり、果実の軟化機構を解明し、
軟化を引き起こす酵素や遺伝子を特定することは、遺伝子工学的手法を用いた
軟化制御技術など、流通・貯蔵技術の開発に不可欠である。
成果の内容・特徴
  1. リンゴの軟化時のペクチン質の可溶化に伴い、ペクチン分子の側鎖多糖から
    アラビノースとガラクトースが分解・消失し、側鎖構造の少ないペクチンが可溶化した
    (表1)。
  2. リンゴの細胞壁画分から抽出した酵素液をヒドロキシアパタイトカラム分画した
    ところ、4つのβ-D-ガラクトピラノシダーゼ(GA-aSe)アイソザイム(Ⅰ~Ⅳ)画分と1つの
    α-L-アラビノフラノシダーゼ(AF-ase)画分が得られた
    (図1)。
  3. GA-ase画分はいずれも精製したペクチンからガラクトースを遊離する活性を示し
    (表2)、II~IVは軟化に伴い活性が低下したが、
    Ⅰは顕著に活性が増大した(図1)。
  4. AF-ase画分は、精製ペクチンからアラビノースを遊離する活性を示し
    (表2)、
    軟化に伴い活性が増大した(図1)。
    これらの結果からβ-D-ガラクトピラノシダーゼとα-L-アラビノフラノシダーゼによる
    ペクチン側鎖多糖の加水分解が、リンゴ果実の軟化に重要な役割を果たしていると考え
    られた。
成果の活用面・留意点 ここで示したデータはリンゴ果実で得られたものであり、他の果実については個々に
調査する必要がある。また、酵素をさらに精製して組織内での作用様式などを検討する
必要がある。
図表1 230484-1.gif
図表2 230484-2.gif
図表3 230484-3.gif
カテゴリ 保存・貯蔵 りんご

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