環境に配慮した水稲除草剤体系の策定

タイトル 環境に配慮した水稲除草剤体系の策定
担当機関 岩手県立農業試験場県南分場
研究期間 1959~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約 一発型除草剤の一回処理による除草を基本とし、初期除草剤の田植前使用を行わないこととして、除草作業の省力化、低コスト化をすすめるとともに、環境への影響に配慮した雑草防除法を策定した。
背景・ねらい 従来、岩手県では水稲初期除草剤の田植前使用が一定の効果をあげてきたが、
移植時の落水による周辺水系への薬剤流出の危険性が高いうえ、
初期剤使用後に一発型除草剤の散布など必ずしも必要でない場合も多く、
作業時間の増加やコスト上昇の一因ともなっている。
この雑草防除法では通常の水田では一発除草剤の一回使用を基本的な防除法とし、
特に初期除草剤の田植前使用を行わないこととし、
低コストでかつ環境への影響に配慮した防除法の普及を目的としている。
成果の内容・特徴
  1. 雑草発生の様相(種類、量)を3つのパターン(1年生雑草主体、1年生+多年生雑草、
    難防除雑草多発)に分け、これに基づいて使用体系を示している
    (表1)。
  2. 一発除草剤の一回使用による防除を強調し、通常の場合この方法をとることとする。
    その中で、1年生雑草主体の場合は非SU(スルフォニルウレア)系剤を選択、
    1年生+多年生の場合はSU系剤を選択することとし、SU系剤偏重の軽減をねらっている。
  3. 田植前使用の削除に関連し、従来の使用場面を場合分けして、
    新しい体系での対応策を示している。
    1. 代かきから田植えまでの期間が長い場合
      初発雑草の発生消長を示し、
      代かきから田植えまでの期間が 7~10日間程度ならば一発剤の一回処理、
      または田植後処理での体系防除で対応が可能
      (表2、表3)。
    2. 初期の低温や冷水田など雑草の発生が長期にわたる場合
      移植後処理の初期剤と中期剤の体系処理で十分対応できる。
    3. 初期剤散布後に一発除草剤を用いる場合
      通常の場合初期剤は不要である。一発剤を適期に処理することで十分な効果がある
      (表4、表5)。
  4. 体系防除は雑草の発生量が多い場合、
    初期の低温や冷水田などで雑草の発生が長期にわたる場合など、
    一発剤による除草が困難な場合に限定。またここでも雑草の発生パターン
    (1年生or 1年生+多年生)によって、中期剤をSU系、非SU系に分けている。
  5. 難防除雑草(シズイ、クログワイ)が多発する場合については特に一項を設け、
    ベンタゾン剤を用いた体系防除の必要性を強調している。
  1. 一発除草剤の一回使用を可能にするため、
    漏水対策や代かきから田植えの期間を短くするなど適切な管理を行う。
  2. 一発除草剤の散布に当たっては、圃場を観察し殺草可能葉齢の範囲内に処理を行う。
  3. 養魚池や利用用水、河川等周辺環境に配慮し、
    水田外への薬剤の流出や飛散が無いように注意する。
  4. この成果の活用は、岩手県に限る。
成果の活用面・留意点
  1. 一発除草剤の一回使用を可能にするため、
    漏水対策や代かきから田植えの期間を短くするなど適切な管理を行う。
  2. 一発除草剤の散布に当たっては、圃場を観察し殺草可能葉齢の範囲内に処理を行う。
  3. 養魚池や利用用水、河川等周辺環境に配慮し、
    水田外への薬剤の流出や飛散が無いように注意する。
  4. この成果の活用は、岩手県に限る。
図表1 230583-1.gif
図表2 230583-2.gif
図表3 230583-3.gif
図表4 230583-4.gif
図表5 230583-5.gif
カテゴリ 病害虫 コスト 雑草 省力化 除草 除草剤 水田 水稲 低コスト 難防除雑草 防除 薬剤

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