タイトル |
コメのアミロース含量に影響を及ぼす酵素の活性 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1992~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
穂上の着生位置や登熟期の温度条件により米粒中のアミロース含有率が変動するのは、デンプン合成関連酵素のバランスに原因がある。
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背景・ねらい |
炊飯米の粘りに影響を及ぼす胚乳デンプン中のアミロース含有率は、 籾の穂上における着生位置(堀内1991)、 登熟期の温度(檜作1969)によって変動する。 本研究はアミロース含量率の変動の機構を デンプン合成関連酵素の活性の比較から解明し、 コメの品質に関わる研究の推進に資する。
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成果の内容・特徴 |
- ジャポニカ系統「奥羽316号」のアミロース含有率は、
強勢穎果で高く、弱性穎果で低い(図1)。
- アミロース含有率が低い弱性穎果では、
アミロース合成に関与する結合型デンプン合成酵素(BSS)の活性が 他の酵素に比べ特に低い(図2)。
- 登熟期の低温処理(15度C恒温)により、
「あきたこまち」のアミロース含有率は25度C処理よりも約5%上昇する。 15度Cで登熟した場合の結合型デンプン合成酵素(BSS)の活性は 他の酵素より相対的に高くなる傾向を示す (図3、図4)。
- 以上から胚乳デンプン中のアミロース含量の変動は、
結合型デンプン合成酵素の活性と、 デンプンのもう一つの成分であるアミロペクチン合成(QE、SSS)や、 デンプン合成全体に関わる酵素(SUS、ADPP) の活性とのバランスに基づいて生じると判断する。
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成果の活用面・留意点 |
- コメの品質改良を目指したデンプン合成機構に関する生化学的基礎研究、
コメの登熟の機構解明の基礎資料となる。
- 登熟期間の温度によってアミロース含有率が変化する現象は、
一般的にジャポニカ品種に特有で、 インディカ品種には見られないと言う既知の知見がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
品種
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