タイトル |
濃厚飼料に食塩を添加して、放牧牛に濃厚飼料を均等に給与する方法 |
担当機関 |
福島県畜産試験場 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
食塩添加によって濃厚飼料の均等給与ができる。交代で採食するので飼槽は通常の1/3に節約でき、採食できない牛は減少する。晩秋の子付き母牛でも低Mg血症が予防できる。飲水が十分有れば、食塩中毒は起こらない。
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背景・ねらい |
放牧の場合、濃厚飼料の均等給与は、ピロプラズマ病、グラステタニー等の 予防に有効である。食塩の高濃度添加濃厚飼料の不断給餌による均等給与の報告は あるが、過剰摂取の影響が憂慮される。そこで低濃度の食塩を添加し採食可能な 時間(以下採食時間)を、1時間以上にすることによる競合防止と、 過剰摂取による中毒・生産性への影響について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 1.5kg/頭の濃厚飼料に食塩を添加して、採食時間を1時間以上にすると、
濃厚飼料は均等に給与できる。その場合の食塩濃度は約9%、春約4%、秋約7%である。 採食時間は粗飼料の質が良く、量が多いと長くなるが、気温との関係は無い (表1)。
- 食塩添加により、牛は交代で採食し、飼槽の長さは通常の1/3にできるので、
経費節減になる。また、採食できない牛は23~35%から3.4~9.1%に減少した。 (表1)。
- 晩秋、子付き母牛の血漿Mg値(mg/dl)は、食塩添加濃厚飼料給与区で
1.7~2.4(平均2.0)、濃厚飼料無給与区で0.7~1.7(平均1.1)であり、 晩秋の牧草の低栄養を濃厚飼料が改善し、低Mg血症が予防される (表2)。
- 10~20%食塩添加濃厚飼料、25日間不断給与試験で、食塩を最も多く摂取した牛の
平均摂取量は691g/日(最高摂取量は900g/日)であったが、 軟便を呈した外は、特に異常は認められなかった。このことから、牛は飲水が 十分有れば、過剰摂取による食塩中毒は起こらないことが確認された。 (図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 放牧場において、早春や晩秋の牧草成分がアンバランスな時期に、
食塩添加濃厚飼料の均等給与により、栄養面からピロプラズマ病、ブラステタニー等の 損耗防止に活用できる。
- 生産性影響試験については、未経産牛に50g/日の食塩を37日間給与後、
ただちに人工授精を実施したところ、受胎率は50%(4/8)、DGは0.892kgであったが、 対照区の受胎率は100%(8/8)、DGは0.784kgであったことから、 食塩の過剰摂取による生産性への影響としては、受胎率の低下が憂慮される。 そのため、交配前2ヶ月及び交配中は、食塩の過剰摂取はさせないほうが良い。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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