アメリカシロヒトリの周年飼育による核多角体病ウイルスの大量増殖

タイトル アメリカシロヒトリの周年飼育による核多角体病ウイルスの大量増殖
担当機関 山形県蚕糸総合研究センター
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約 アメリカシロヒトリを非休眠化して、人工飼育による周年飼育を行い、4齢幼虫に低濃度の核多角体病ウイルスを投与することで、生物農薬の原料となるウイルスの大量増殖が図られる。
背景・ねらい 養蚕の多回育が進行する中で、桑園害虫を防除するには、蚕に対する農薬中毒被害や
環境汚染の心配がない生物農薬の利用が効果的である。そこで、桑園の代表的な害虫
であるアメリカシロヒトリを対象とした生物農薬による防除法を開発するため、幼虫の
全齢人工飼料育による周年飼育技術体系の確立と、ウイルスの効率的な増殖法を
明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. アメリカシロヒトリは、1~3齢期を16L/8Dの長日で飼育することで非休眠化がおこり、
    年間を通じて卵を供給することができ、周年飼育が可能となる。
  2. アメリカシロヒトリの全齢人工飼料育は、飼育密度が100平方センチメートル当り
    3.25頭とし、2重底構造の容器で飼育する。飼料は低コスト人工飼料として家蚕用
    湯練り飼料に抗生物質を添加して調製したものを、1頭あたり全齢で約2gを3回に分け、
    ブロック状に切断して給餌する。
  3. 採卵用アメリカシロヒトリの1世代平均所要日数は約50日で、年間7回飼育することが
    できる。また、卵や蛹の保護温度を制御することで、さらに多数回の飼育が可能と
    なる。
  4. ウイルス増殖用の飼育は、孵化から多角体の回収まで20日、更に施設資材の清掃や
    準備期間を含めると25日周期となり、年間14回飼育が可能である。
  5. アメリカシロヒトリ4齢初期の幼虫に、104濃度のウイルスを投与し25度Cで
    飼育を行い、10日後に病虫を一括回収することにより、ウイルスの大量増殖が
    図られる。
  6. アメリカシロヒトリの飼育は、これまでのデータを組み立てて策定した
    飼育参考表を活用する。
  7. 粗精製の106/ml濃度多角体液をアメリカシロヒトリの巣虫時に葉の下面を
    対象に散布すれば、桑をはじめ、果樹、緑化樹等に対しても防除効果が高い。
表1 アメリカシロヒトリ幼虫に対するウイルス接種後の
多角対数と起病性の推移
図1 飼育経過及び多角体回収周期
成果の活用面・留意点
  1. 生物農薬は、環境や散布事業者への安全性が高いので、農薬製造メーカーに働きかけ
    生物農薬の活利用促進をはかる。
  2. アメリカシロヒトリの採卵用飼育の後半には多湿になりやすいので、糞の早期除去等
    防湿に留意する。
図表1 230723-1.gif
図表2 230723-2.gif
カテゴリ 病害虫 カイコ 害虫 飼育技術 低コスト 農薬 防除

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