タイトル |
天蚕の全齢野外放飼育 |
担当機関 |
岩手県蚕業試験場 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1994 |
要約 |
天蚕卵をネットに収容し、病原消毒・害虫防除を行った飼養樹(クヌギ)に取りつける野外孵化は孵化率の低下もなく、その後全齢放飼育を行っても安定した結繭率・繭質が得られる。
|
背景・ねらい |
最近の天蚕飼育は、稚蚕人工飼育した後に病原消毒、害虫防除を行った飼育林で 放飼育する方法により作柄の安定が図られてきた。しかし、天蚕飼育が生産現場に 定着するには、人工飼料育でも飼育作業が煩雑で多くの労力が必要とされることや、 飼料価格が高いなどの課題がある。そこで、稚蚕飼育労力削減と低コスト化を図る ため、天蚕の野外孵化による全齢野外放飼育について検討した。
|
成果の内容・特徴 |
- 野外孵化を行っても孵化率は低下せず、孵化後の発育にも異常がみられない。また、
安定した結繭率、繭質も得られる(表1)。
- 業害虫等の防除
- 飼育林は萌芽前にホルマリン消毒、萌芽期または卵取りつけ約10日前に殺虫剤
(DDVP)を散布する。飼育林のネット被覆は殺虫剤散布前もしくは散布直後に行い、 外部からの加害動物の侵入を防ぐ。
- 天蚕の孵化幼虫はクモに襲われることがあるので、クモ類は適宜捕殺する。
- 飼養樹への卵の取り付け方法と飼養管理
- 飼養樹へ取りつける直前に冷蔵庫から出庫した天蚕卵は、消毒を兼ねてクライト洗浄
で膠着物を洗い落とし、不受精卵や死卵、外観異常卵を除く。
- 袋状に加工(5cm×5cm程度の大きさ)したポリエチレン製の水きりネットに100個程度の
天蚕卵を収容し、飼育林内の生育の旺盛な飼養樹の葉にホチキスで留める。使用する 水きりネットの網目は天蚕卵を通さず孵化幼虫が通りぬけられる程度の大きさとし、 ネット袋の上部は半分程度開放しておく。
- 飼育天蚕は大部分が3齢に到達するか、飼養樹の残葉が30%程度になった時点で、移動先
の飼養樹の生育量に見合った適当数の天蚕を枝ごと切り取り、飼育林全体に分散移動 させる。
|
成果の活用面・留意点 |
- 飼育には微粒子病母蛾検査を実施した無毒卵を用いる。
- 卵の取り付け時期は加害動物が多発しない5~6月に行う。
- 天蚕の孵化幼虫は加害動物の影響を受けやすいので、飼育林の除草を適宜行う。
|
図表1 |
 |
カテゴリ |
病害虫
害虫
加工
飼育技術
除草
低コスト
防除
|