カットリンゴの保存法の開発

タイトル カットリンゴの保存法の開発
担当機関 岩手県工業技術センター
研究期間 1989~1993
研究担当者
発行年度 1994
要約 予め皮が剥いてあり、しかも開封容易なフィルム包装によるカットリンゴの製造法を確立した。5度Cで20日間保存後でも褐変度、生菌数、食感、食味や香りがカット直後にほぼ近い状態で保存でき、遠距離への流通が可能となった。
背景・ねらい リンゴは、国内の生産過剰傾向に加え、輸入自由化により市場の出荷量の増大が
予想される。このため、加工品としての消費をさらに拡大する必要が緊急に求め
られている。一方、リンゴがミカンに比べ気軽に食べられないのは、皮を剥き
切断しなければならないからであると言われる。このような状況で、本法の目的は、
第1にリンゴをナイフが無くてもスナック感覚で簡単に食べられるようにすること、
第2に業務用や調理用にカットリンゴを大量に供給する技術を開発することである。
従来のカットリンゴの製造は、カット直後食塩水に浸す方法が一般的であるが、
この方法では、低音保存しても褐変を抑えられず、表面生菌数も約4日間で許容
限界に達し、商品としての流通はほとんど不可能であった。
成果の内容・特徴
  1. 食塩およびビタミンCは両者を単独で使用するよりも混合で施用した場合に褐変防止
    効果が高かった。混合した場合の濃度は、それぞれ0.5%が適当であった。
    (図1)。
  2. 100ppm以上の次亜塩素酸ナトリウム処理に殺菌効果が認められた。
  3. カットリンゴは包装フィルム中の脱酸素剤の使用により褐変防止効果が顕著に認めら
    れた。
  4. カットリンゴを5度Cで20日間保存すると一般生菌数の増加がみられるが、処理液浸漬
    により1/10以下となり、脱酸素剤の封入と脱水処理を併用することでさらに1/1000
    以下となった。
  5. 処理液へ浸漬後、脱酸素剤を封入し、脱水処理したカットリンゴのテクスチャー
    は20日間保存しても、カット直後のものに比較し変化が少なかった。
  6. 上記処理のカットリンゴの糖、有機酸及びアミノ酸は、その組成及び含量に変化が
    ほとんどみられなかった。
  7. カットリンゴ製造直後では、製造過程で使用した次亜塩素酸ナトリウムの残存は
    認められず、水質試験法で規定されるような濃度の塩素化合物の生成も認められ
    なかった。
第2図 各温度におけるテクスチャーの変化
第3図 カットリンゴ保存中の糖の消長
成果の活用面・留意点
  1. この技術は特別な措置を必要としないことから、その適応範囲は広いと考えられるが、
    薬剤濃度、使用材料を誤らないこと及び製造工程すべてを組み合せて実施することが
    必要である。また、本法は既に一部の地域で普及に移されている。
図表1 230742-1.gif
図表2 230742-2.gif
図表3 230742-3.gif
カテゴリ 加工 出荷調整 薬剤 良食味 りんご

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