日本稲型紫黒糯の水稲新品種候補系統「奥羽糯349号」

タイトル 日本稲型紫黒糯の水稲新品種候補系統「奥羽糯349号」
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 水稲「奥羽糯349号」はバリ島の紫黒米に由来する日本稲型の改良紫黒糯系統である。東北中南部では早生に属する中長稈の中間型系統で、穂いもち抵抗性および耐冷性は弱い。玄米果皮が濃い紫色を呈し、赤飯、和洋菓子、酒、染織等に利用できる。
背景・ねらい 村興し等で紫黒米を試作したり、紫黒米を利用した料理、菓子、酒などの開発が行われている。しかし、わが国での栽培に適した紫黒米品種はなく、民間が中国から導入した品種が用いられている。それらの栽培適性は低く、日本稲型の改良品種が求められてきた。このような期待に応え、また新たな需要開発のため、新形質米プロジェクト研究の中で、紫黒米品種の育成を行ってきた。
成果の内容・特徴
  1. 「奥羽糯349号」は「F6東糯396」(タツミモチ/バリ島在来紫黒米//中部糯57号)/「奥羽331号」(後のふくひびき)から育成された紫黒糯系統で、育成地では早生の晩に属する中長稈の中間型系統である。
  2. 葉いもち抵抗性は強いが、穂いもち抵抗性は弱く、耐冷性もやや弱い。耐倒伏性は中程度、穂発芽性も中である。収量は一般の糯品種に比べ20%程度低い。玄米はやや細長く、小粒である。玄米のほか稲体の種々の部位がアントシアン系の紫色を呈する。
  3. 玄米の果皮は濃い紫色を呈するが、完全に搗精した後水洗すると、一般の糯米と同様の白さになる。7~8分搗きにして、わずかに紫色の果皮を残した米を炊いたり、蒸したりすると、炊飯米全体が紫色になる。その色の濃淡は搗精の程度による。一般の白米に本系統の玄米を若干混合して炊飯しても炊飯米全体が赤飯のような赤紫色を呈する。
    (表1 奥羽349号の特性一覧)
成果の活用面・留意点
  1. 本系統は東北中南部に適し、村興し等での活用や、愛好家の飯米にも利用されるほか、和・洋菓子、酒、古風料理などで新たな需要開発が期待される。(表2 紫黒米の利用例)
  2. 耐冷性がやや弱いので、冷害の発生しやすい地帯での栽培は避けるほか、穂いもち抵抗性も弱いので、防除に留意する。
  3. 高温下で登熟すると、玄米の紫色がやや薄くなり、紫黒米としての評価は低下する。
  4. 一般米に混入しないよう特に注意する。機械的混入を避けるため、乾燥機、籾摺機等を別にするほか、毎年同一圃場で栽培することが望ましい。翌年別品種を栽培する場合はこぼれ種子の発芽、生育に注意し、適宜抜き取る。
  5. 他家受精を通した玄米色の遺伝的拡散を防ぐため、採種圃の付近や出穂期が同じ品種の隣では栽培しない。
図表1 230756-1.gif
図表2 230756-2.gif
カテゴリ 病害虫 乾燥 新品種 水稲 抵抗性 凍害 品種 防除

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